トータスと民生

トータスと民生

この電車の中吊りを見て、ふと思い出した。

この人、初めて会ったのってデビュー直後なので、確か1992年とか
それくらいだと思うが、その時は「お酒飲めない」って、
牛乳ばかり飲んでいた記憶がある。

それが、取材の時に「昨日、飲みに行ったらな――」
というような話をきくようになったり、ブログ(こないだ
終わっちゃったけど)にワインが好きだと書かれていたり、つまり、
いつの間にか、日常的にお酒を飲む人になっていたのだった。

そういえば、前に竹中直人にインタビューした時、
「50を過ぎてから酒を飲むようになった」という話をきいた。
あと、これは僕のうろ覚えなので間違っているかもしれないが、
ダウンタウン松本人志も、昔は飲めないと言っていた気がする。
ちょっと前に、「リンカーン」で、出演者がお気に入りの酒のつまみを
持ち寄る企画があって、ひと口食べて「これはお湯割りやね」
と言ったのを観て、そういえば昔、飲めないって言ってなかったっけ、
と思い出したのでした。

アルコール飲む飲まないって、基本的に体質の問題であって、
「飲める」「飲めない」「飲めるけど好きじゃないから飲まない」
の三種類しかないと思っていたんだけど、
「飲めなかったけど飲めるようになる」というジャンルもあることを、
大人になってから知りました。

でも、体質的にダメな人はダメなままだろうから、
途中から飲むようになる人は、
「飲みたくなかったけど飲むのが好きになった」とか
「飲めないと思い込んでいたんだけどそうじゃなかった」とか、
そういうことなんだろうか。
「子供の時タマネギ食べられなかったけど、今は平気」
っていうのと、同じような。
そういえば、作家の清水義範は、家族みんな飲めないから
自分も飲めないもんだと思い込んでいて、実際に20代半ばくらい
までは飲まなかったんだけど、ある時「飲める」「そして決して嫌いではない」
ことに気づいて、飲むようになった、と、エッセイで書いていた。

もうひとつ思い出した。
広島時代、だから20歳とかそれくらいの頃、
奥田民生はコーヒーが飲めなかった。
で、あれ2,3年前だっけ、取材の時にコーヒーが出てきたから、
「あ、民生さんのはお茶に変えてくれる?」と言ったら、
本人に「おまえ、何十年前の話だよ」と言われた。
「え? 今は飲めるんですか?」
「飲めるよとっくに!」

いつの間にか、苦手を克服していたのでした。
僕は民生の「コーヒー」を聴くたびに、
「でも民生さん、コーヒー飲めないんだよな」と思っていたんですが、
ずーっと大間違いしていたことになります。


と、トータスの中吊り1枚で、ここまで話を転がしたものの、
このあとどう収束すればよいのか、皆目見当がつかないままなのでした。
奥田民生的にいうと「カイモクブギー」な状態です。
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