といっても、北野武監督の大傑作のことではありません。
バンドのドキュメンタリー映画です。
渋谷に、「シアターN渋谷」という、おそらく日本で最もロック系のドキュメンタリー映画を
上映しているミニシアターがあって、そこで昨日12月18日から
レイトショー公開が始まったので、観てきたのでした。
OUTRAGE。
僕(42歳)から10歳くらい下までで、ジャパメタ(ジャパニーズ・へヴィ・メタルね)を
通った人なら、間違いなく知っている、名古屋のバンドです。
って、若いファンも知ってるか。2007年と2009年に、「LOUD PARK」に出て、大ウケしたりしてるし。
1982年に結成、1988年メジャーデビュー。
その前年、インディーズで頭角を現し、全国区で名前が知られるようになる。
僕が知ったのもその頃です。
スラッシュやハードコア・パンクの要素も入った、ACCEPTやPANTERAなんかに
通ずるようなパワーメタルで、とにかく硬派なイメージでした。
メンバーは橋本直樹(vo)、阿部洋介(g)、安井義博(b)、丹下眞也(ds)の4人。
メジャー移籍後も名古屋を拠点とし、G・B・HやPANTERAの来日ツアーの
サポート・アクトを務めたり、海外でも評価されてヨーロッパ各国でもアルバムが
リリースされたりしつつ活動を続けていたが、1999年に橋本が脱退。
後任のボーカリストを探すもうまく見つからず、安井と阿部がボーカルを
兼任する形で動き始めるが、音楽的にも、また動員の減少なども含め、苦しい時期が続く。
2007年、デビュー20周年を期に、橋本が期間限定でバンドに復帰。
翌年、正式に再加入することが発表され、バンドは勢いを取り戻す―――。
非常にざっくり言うと、そういうストーリーです。ストーリーというか、事実なんですが。
で、私、なんで観に行ったのかというと、もしかしたらこれ、
日本版『アンヴィル!』かも、と思ったからです。
そう。あの、カナダのメタル・バンドのドキュメンタリー映画です。
私、観て大感動して、このブログでも書きました。
ここから4回にわたって書いております。→http://ro69.jp/blog/hyogo/26771
で。この、『SHINE ON TRAVELOGUE OF OUTRAGE』ですが。
結論からいうと、その期待、半分当たって、半分外れました。
当たったところは、
「決してやめられない麻薬としてのロック・バンド」みたいなこと。
そのすばらしさ半分、怖さ半分……いや、「怖さ」の方がでかいな。
「どうしようもなさ」とかもあると思います。
とにかく、そういうようなものが、そのまんま伝わってくること。
「○○のファン」「××が好き」とかが昂じて、「バンドってなんだろう」
「ロックってなんだろう」みたいなことを考えることがある、という方は、観る価値、あると思います。
で、外れたところはですね。
『アンヴィル!』は、ツアーやっても客来ない、金はもらえない、
レコーディングしたいが金がない、それでもやっと作ったアルバムは
どこもリリースしてくんない……みたいな、売れないバンドの悲哀ストーリーでもあった。
で、それを裏付けていたのが、映画の中に出てくる、アンヴィルの
音楽、そのものだった。
クオリティは高いんだけど、嗜好性が、ミクスチャーもグランジもなかったことになっている、
みたいな、力いっぱい80年代で止まっているメタルのままであり、
「あー、これ、そりゃ今やっても売れないわあ」
「旧譜の再発ならありだけどリアルタイムはきついわあ」
というようなものだった。
だからよけい悲哀が増す、そういう作品でもあったわけです。
要は、そこが、『アンヴィル!』と、この『SHINE ON』の違いなわけです。
作品中に何度も流れるOUTRAGEの曲、そしてライブ・シーン。
めちゃめちゃかっこいい。
つまり、簡単にいうと、元々、古びないタイプのメタルを
やっていたことが功を奏している、というか。
今年をふり返っても、IRON MAIDENはUKチャートの1位になったし、
メタリカは今も世界トップ・クラスのバンドとして、さいたまスーパーアリーナ2デイズをやった。
そっち側の音なわけです。
で、めちゃめちゃかっこいいから、それがちゃんと認められ、受け入れられている。
映画の最後に、今年行った全国ツアーの各地の様子が出てくるんだけど、
「えっ、こんな地方でもこんなにお客さん入るの?」と、
びっくりするようなことになっている。
おもしろかった、だけでなく、何か、いろいろ考えさせられました。
1月14日(金)まで、シアターN渋谷にてレイトショー公開。
1月には地元名古屋でも公開されるようです。
詳しくはシアターN渋谷のサイトまで。
こちら。→ http://www.theater-n.com/
映画のサイトはこちら。→ http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A018593.html