控えめに言って圧勝のライブだった。
ドーム中を満たす光の演出、巨大なセットのインパクトは相当なものだが、その巨大なパワーをまといながら、たったふたりで音楽を奏で続けることの重みはどれほどのものなのだろう。
シンプルさを愛でる、あるいは素の状態を楽しむといった、アザーサイドを見てもらうというスタンスでは、この大きなエモーションを作り出すことは難しいと思う。
ゆずの弾き語りとは、それ自体がまず、完全なのだ。
足りないものがない。
そんなふたりだけの完全なゆずの形に最先端の演出が派手に重なっていく。
そうやって大きな感動から繊細な感動まで、感動の質をくるくると変えながら、ライブは進んでいった。
それにしても、何万人ものエネルギーを受け取めながら、そして真摯に歌を紡ぎながら圧倒的なクライマックスに導いていく北川悠仁と、ひとときも音を切らすことなく、パーフェクトで自由な鳥を思わせるハーモニーを奏で、豊かな音楽を構築していく岩沢厚治。
ふたりのそれぞれのスキルと成熟は本当に素晴らしいものだと思う。
一朝一夕には辿り着くことのできない、ポップミュージックの高みをまた見せてもらった印象だった。
東京ドームも観に行こうと思う。(小栁大輔)