音楽も映像もすべてのクオリティが異常に高い新人バンド、CLAN QUEENが気になる
2024.01.06 12:00
2022年11月に突如としてYouTubeにMVをアップし始めた謎のバンド・CLAN QUEEN。
「音で遊んでやろう」という意気込みが思いっきり伝わってくる変幻自在なサウンドがたまらないし、メロディはダークに沈みながらも自然と身体が動いてしまうファンクネスに満ちているし、ピュアだったりシニカルだったり多面的な表情を見せるyowa(Vo)の声に混ざってくるAOi(Vo・G)の渋いラップが効いているし、MVはクオリティが異常に高いなと思ったらベースのMaiが担当していて「マジで?」という感じで、気になって仕方ないのに情報がネットの海にもあんまり落ちていない。
歌詞には「地獄」(“ベルファイアクラブ”)や「楽園」(“踊楽園”)や「冥界」「極楽浄土」(“プルートー”)など、「この世ならざる場所」が多く登場してくるけれど、昨年12月25日、すなわちクリスマスにリリースされた新曲のタイトルは“天使と悪魔”で、どこまでも世界観が徹底している。
《神様 私は/愛を履き違え 信じてた様です/本当に愛とは/痛み、苦しいもの なのでしょうか?》という懺悔の歌始まり、グロッケンとピアノの間のようなポップなイントロで曲は幕を開け、サビはCLAN QUEENの中で最もポップに開け、ホーンの華やかな響きが曲を彩ってゆく。これまで並行世界に存在していたyowaとAOiのボーカルは初めて美しいユニゾンを見せ、《神様 私は/愛で傷付いて良いんだと思うんです》という自分に言い聞かせるような独白で幕引き。「ほんとにインディーズ?」と思ってしまうほど、よくできた曲である。
CLAN QUEENが提唱する音楽ジャンルは「クリエイティブネオロック」とのこと。まさにクリエイティブだし、ネオだし、ロックなこのバンド。絶対今のうちから聴いていておいたほうがいいと思う。(畑雄介)
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