乃紫が“全方向美少女”のスマッシュヒットのあとに放った新曲“A8番出口”は、青春を感じさせる甘酸っぱいロックンロールチューン。と言っても、爽やかな青春ラブソングとは一線を画し、懐かしさと妖艶さも醸し出しながら衝動的な10代の恋愛を描き出しているのが新しい。
こんな先輩が学校にいたらドキドキするな......と女の私ですら思ってしまうくらい、普段はやんちゃで上から目線な態度の先輩が、思い通りにならない好きな男子の前で感情をあらわにするところに、見てはいけない姿を見てしまったようなエモさを感じる。乃紫の気怠げな歌声が、強さの中に儚さがあるそんな女性像をより鮮明に浮かび上がらせる。
“全方向美少女”もそうだったが、乃紫の曲には女子目線のドロっとした感情や皮肉がちりばめられていて、それがエッセンスとなって「こういう人いるよな」という解像度を上げ、妙な胸のざわつきを感じさせるのだ。
次々と放たれる乃紫の楽曲に翻弄される人が、これからもっと増えていく予感がする。(有本早季)
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乃紫の新曲“A8番出口”が描く、あざとく衝動的な10代の恋模様にドキドキが止まらない
2024.04.13 17:30