今回のインタビューの中で「シンプル」「等身大」などの言葉が何度か登場したのだが、それは決して原点回帰や保守的な方向性を意味するものではない。むしろ挑戦に満ちていて、新たなフェーズ──まさに新章の幕開けと言っても過言ではない作品である。
その挑戦的な姿勢は1曲目の”Unbound”から顕著にあり、イントロは短くあるべきという近年の風潮にとらわれることなく、思わず聴き入ってしまう印象的なギターリフから始まる。Aメロでいざ比喩根の声が聴こえるかと思いきや、まさかのベース・小崎のラップで幕を開ける展開に驚いたリスナーも多いだろう。今作は比喩根だけでなく小崎と玲山も作詞作曲に参加し、より自由度の高い制作を経て完成したという。無駄を削ぎ落としより研ぎ澄まされた楽曲たちは、これまでのchilldspotの作品とはまた違った輝きを放っている。
インタビューでは、”ネオンを浴びて”で注目を集めて以降に抱えていた葛藤や、そこから見えてきたバンドの姿を通して、今のchilldspotのリアルなモードに深く迫っている。比喩根の率直な言葉とそれを包み込むように支える小崎と玲山の存在が印象的で、3人の言葉とバンドに向き合う姿勢から、chilldspotがここからさらに加速していく確信を感じると同時に、その飾らない強さに取材中すっかり魅了されてしまった。
『ROCKIN'ON JAPAN』11月号とWEBのrockinon.comにて掲載中のインタビューで、嘘偽りのない3人の今とこれからに向けた熱い想いを感じ取ってほしい。(伊五澤紗花)
『ROCKIN'ON JAPAN』11月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。
