小沢健二は普遍のメロディーに乗せてまっすぐ理想のメッセージを歌う。音楽の魔法で見えない壁を取り払って人々の心が溶け合う世界を作り出す。そのために全身で歌う人のままだった。その力とテンションは全く衰えていなかった。
むしろ、そのメッセージが際立つ大胆な演出に満ちたコンサートだった。記号としてのオザケンではなく、生身の熱い男・小沢健二の歌が解放されていた。まるで何年かに一度くらいこんなコンサートを続けてきたような芯の通ったステージ。本人もきっと手応えがあったに違いない。
彼はずっと音楽のことを考え続けてきた。そしてこれからもずっと音楽家でい続けるだろう。そう確信できた一夜だった。(古河)
