明らかに稀有なライブだった。
その稀有さはもちろんAimerの歌声が稀有であるということとほぼイコールだが、それだけではないと思う。
Aimerという歌い手はなぜこれまで歌い続けてきたのか。
そしてこれからも歌い続けなければならないのはなぜなのか。
その必然が伝わるようならライブだった。
あの声に生まれたのなら歌うしかないーーという解釈を僕たちはよくするし、そうよく語るが、あの声は或る日突然もたらされたギフトのようなものなのではなくて、声が出ない日も、思い通りに歌えない日も、歌に愛されていないと感じるような時も、それでも、
Aimerは休まず歌い続けてきたというその事実によって、たどり着いた「あの声」なのだと思う。
細かく震える声、繊細なひだで包見込むような声、言葉を超えて感情を伝える声。
そのすべての声に深いドラマと尊い背景を感じさせるような、まさに耳を一瞬も話すことのないものすごい求心力のあるライブだった。
Aimerは、「私は、歌が好きです」とぽつりと言った。
不意を突かれたようではっとしてしまったが、そういうことなのだと思う。
13000人の前で、センターステージの真ん中に立ち、堂々とそう宣言できる、そしてその言葉がとても親密なメッセージとして伝わる、そういう生き方をしてきた人のライブなのだなと思った。