以前ご紹介したCourtney Barnettのデビュー作『Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit』がアメリカで3月24日に無事発売された。
http://ro69.jp/blog/nakamura/120506
ファースト・シングル”Pedestrian At Best"はこちら。
また最新の”Depreston"
SxSW前に最も注目されていたのだけど、やっぱりそのライブも期待通り良かった!という批評家の声が多かった。
こちらNPRが放送したSxSW35分間の映像。
そして発売されたデビュー作も各誌絶賛。
今年最も注目の新人として、NYタイムズも彼女のプロフィールを紹介する記事を紹介。
http://www.nytimes.com/2015/03/15/arts/music/courtney-barnett-prepares-her-debut-album.html?_r=0
ローリング・ストーン誌も「なぜ彼女が2015年最も賢いアルバムを作ることができたのか?」という記事を掲載。
http://www.rollingstone.com/music/features/how-courtney-barnett-made-one-of-2015s-most-clever-lps-20150129
ピッチフォークも、8.6 点(ちょい低いけど)で、BEST NEW MUSICに選出。
http://pitchfork.com/reviews/albums/20268-sometimes-i-sit-and-think-and-sometimes-i-just-sit/
SPIN誌も10点満点中9点を付けている。
批評家が絶賛する理由のひとつは、まず歌詞の素晴らしさ。
日々のすごく小さいことに目を向けながらそこに彼女の深い洞察が描かれていること。
例えば、20才の青年がエレベーターで待っている間に一緒になったボトックスをした年配の女性との会話でできているアルバムの1曲目"Elevator Operator”などは、ほとんど短編かというディテールだ。
エレベーターに入った瞬間にふたりとも最上階のボタンを押す。そこで女性が、「屋上から飛び降りちゃダメよ/あなたはまだ若くて人生これからまだまだ色々なことがあるんだから/それに、私は、あなたみたいな肌が手に入るなら、何だってするもの」と言うのだ。
そこで青年は、「あなたは自分が思っていることを僕に投影しているだけだ」「僕は自殺したいと思っているわけじゃないんだ。この退屈さを空回りさせているだけなんだ」「僕はここに頭をすっきりさせるためだけに来たんだ」「すべての人はここからはアリに見えて、聴こえるのは風の音だけ」「僕がやりたいことは、エレベーターのオペレーターになることだけなんだ。だから、僕をどうか助けてくれないか?」
というと、また女性が「飛び降りちゃダメよ」と繰り返すのだ。というか、そもそも青年に死んじゃダメよ、と説得しているこの女性も屋上のボタンを押しているのも気になる。
大人になることの不安が、日常の小さい瞬間を切り取った、思いきり引き込まれるような歌詞で描かれているし、彼女の歌い方が、正に「退屈さを空回りさせているだけ」そのものだ。
しかも、それぞれがちょっと笑えるというのも素晴らしい。
さらに、批評家は、PJハーヴェイから、エルヴィス・コステロ、コートニー・ラヴに、ニルヴァーナなどを引き合いに彼女を語るのだが、とりわけ、90年代的なサウンドの復活が起きている昨今において彼女ほどカート・コバーン的なサウンドを復活させているアーティストもいないと。彼女には、「ロックのパワーとポップ・メロディの複雑さを混ぜ合わせる能力がある」と。
ライブにおける彼女のギターの演奏も素晴らしいらしい。残念ながらまだ観たことないのだけど、5月に観る予定なので楽しみだ。NYでは600人キャパで3日間やるのだけど、全日ソールドアウト。引き続き追いかけます!