サマソニ出演直前のマンソンと、スマパンの対バンをNYで観た!

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来週末開催のサマーソニックに出演するマリリン・マンソンと、ジミー・チェンバレンが復活したスマッシング・パンプキンズが豪華対バンのツアー、その名も”終了時間”と題された全米ツアーのNY公演を観て来た!!

会場は、マンハッタンから電車で1時間ほどの場所にある海沿い。ジョーンズ・ビーチ・シアター(キャパ1万5千人)で、行われたのは7月31日。満月ブルームーンの日だった。

そもそもどういう順番で登場するのだろうと思ったらマリリン・マンソンが先。しかし、時間にしたら両バンドとも、1時間半弱と強という感じで、ほぼ同等の内容だったと言える。いや、スマパンの方がちょっと長かったけど。でも、両バンドのモードとしてはどこか真逆とも言える興味深いものだった。

まず、サマソニでのライブも気になるマンソン。ライブが始まった時はまだ明るくて、マンソンにとっては最高とは言える状況ではなかったかもしれないが、何より驚いたのは、”終了時間”と題されていたからか、とにかくすべてを出し切る勢いだったということ。
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何が素晴らしかったかって、1曲ごとに、何かしらセットか、衣装か、仕掛けが変わっていくということ。最近最も人気もあるテイラー・スウィフトのライブだってここまで毎曲は変化しないだろう、というくらいの一球入魂ぶりだったのだ。それにまず驚いた。マンソンの1曲ごとの手抜きなしの世界観への拘りを思い知った気がした。

一応全体の構成としては、正に”アンチクライスト・スーパースター”を祭ったかのような教会という作りになっているのだが、それだけで終わりではなく、台座が高くなっていて、そこに立ったマンソンが聖書に本当の火を着けて見せたり、また、デイヴ・グロール顔負けの、あの超高い竹馬が登場したり! スモークも当然だし、背景が変わったりする。

バンドのサウンドは強靭にして最高。過去のヒット曲に最新作『The Pale Emperor』の曲も入れながら、キャリア全般のヒット曲を網羅した内容。ただ、サウンドが少し新鮮な響きのする最新モードでアレンジされていたのが良かった。オリジナルより気持ちリズムがスロー。しかも、サウンドは削ぎ落とされているのだけど、でも、とにかくギターがヘビーで図太くて思いきりカッコ良い。シンプルな構成になっているのに、その迫力で言ったら、その世界観がまるで縮小された感じには聴こえないのが、マジカルに思えた。
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マンソンは、常に戦闘態勢炸裂。世界に戦いを挑んでやるんだという、激しい怒りのボーカルを響かせていた。「人はロックは死んだと言うけど、俺の性器がまだ死んでないんだ」と"Rock is Dead"を披露。ファンも圧倒されて、曲が終わってから、「マンソン」コールが起こり、それが中々止まらなかったくらい。マンソンもすごく嬉しそうだった。

世界観は常にヘビーでダークではあったのだが、ファンに対しては非常に優しく振る舞っていたのも印象的だった。

ライブの冒頭には、「ニューヨークの観客はもうロックに退屈しているのかと思ったけど、君たちはここに集まってくれたわけだ。ありがとう」と語り、”The Beautiful People”ではステージに観客を上げたり、また、何度も観客席に近寄って来て、可能な限りファンと握手を交わすという、非常に優しい面を見せていた。

つまり、その怒りの矛先がどこに向かっているのか、明確に分かる内容。それを、次々に変わるセットで、メリハリのあるエンターテイメントにしていたというわけだ。世界が腐ったままであるように、それぞれの曲が伝えたいメッセージというのは、曲が生まれた時から変わらないと言えるかもしれない。しかし、それが今の時代においても、その当時と同じように効力を発揮するように構成されていた。マンソンは、昔から知的に全体をプロデュースする能力に長けたアーティストだった。それがこの日も、アテンション・スパンの短い若者を意識したかのように全力で最大限で形にされていた。

サマーソニックも、きっとこのさらに凝縮した内容が披露されるのでは!今のシーンの中で聴くと、唯一無比のヘビーさにしてそのクオリティの高さに驚くはずだ。お楽しみに!
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以下セットリスト。

セットリスト
1. Deep Six
2. Disposable Teens
3. mOBSCENE
4. No Reflection
5. Third Day of a Seven Day Binge
6. Sweet Dreams (Are Made of This) (Eurythmics cover)
7. Angel with the Scabbed Wings
8. Personal Jesus (Depeche Mode cover)
9. The Dope Show
10. Rock is Dead
11. Lunchbox
12. Antichrist Superstar
13. The Beautiful People

Encore
14. Coma White

少し長くなったので、スマパンは次のエントリーに続く。
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