アカデミー賞の俳優部門が2年連続白人のみ。監督、俳優などがボイコットの動き。

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今年のアカデミー賞ノミネーションが発表されたが、2年連続して主演、助演部門の男優、女優が、100%白人のみとなったことから、ウィル・スミスの妻で俳優でもあるジェイダ・ピンケット・スミスが、今年のオスカーをボイコットする、と発言。続いて、スパイク・リーもボイコットにすると発表した。

ツイート上では#OscarsSoWhite (白すぎるオスカー)というハッシュタグで展開され始めたこの運動に、現在マイケル・ムーアも参加するとThe Warpに語っている。
http://www.thewrap.com/michael-moore-happy-to-join-oscars-boycott-exclusive/

「俳優部門は毎年40人ノミネーションできるのに、2年連続で黒人がひとりもいないというのは、クレイジーとしか言いようがない」と。

「ニューヨークにいると、仕事では当然のようにアフリカンアメリカンに出会う。しかしながら、LAに飛んで仕事をすると、空港からウエストハリウッドに行き、バーバンクに行き、センチュリーシティでミーティングをして、サンタモニカでミーティングをして空港に戻ると、その間に、重要なポジションに付いているアフリカンアメリカンにはいつもひとりも会わない。LAは大好きだけど、その問題は正さなくてはいけない」

アカデミー賞の異様なところは、それでいて、アカデミー会員の会長は、黒人のしかも女性であること……。(これで文句ないだろうと言わんばかりだ。)
何度も書いているが、オスカーを決めるアカデミー会員7000人のうち94%が白人、76%が男性、平均年齢63才だ。つまり、主に、63才の白人男性が決めていることになる。白人ばかりなのはそのせいではないか?と言われたら、言い返せないと思う。

去年もその問題が浮上した時には、会長は「それは問題だ」と言っていたのが、何も変わらなかった。

今年は、「心が痛い。何かを劇的に変える」と発言はしたが、どうやって??

今年で言えば、『クリード チャンプを継ぐ男』のマイケル・B・ジョーダン、『コンカッション』のウィル・スミス、『ボーダーライン』のベニチオ・デル・トロ(プエルトリコ出身)などがノミネートされてもおかしくなかったのでは、と言われている。また大ヒットした『ストレイト・アウタ・コンプトン』も俳優部門で無視されているのはおかしいとも。

個人的には、上の俳優達が、どう考えても以下のノミネーションの俳優よりずば抜けて良いので絶対におかしい……というほどではないと思う。全員素晴らしい演技をしたことは間違いないが、現在ノミネートされている俳優から誰を外すか考えるのは難しい。でも、だからこそ、ひとりも入っていないのはおかしいと言える。

また『コンプトン』のプロデューサー、アイス・キューブは、冷静な発言をしている。
「俺はムカついてもないし、驚きもしない」「オスカーはオスカーだから、彼らがやることをやるまでだよ」「それよりも俺にとって大事なことはみんなが映画を気に入ってくれたということ。映画の興行成績は1位になったし、世界的な興行成績は、2億ドルだったんだ。俺がムカつくわけがないよ」と。

ただ、2002年の『25時』でスパイク・リーにインタビューした時、彼の言葉で今も忘れられないのは、「俺が監督でも、その上で権力を持って重要な決断をするのは全員白人なんだ。だから、映画界の人種差別は変わらない」というものだった。それが今回の本当の問題だと思う。そのせいで、TVやストリーミングサイトでどれだけ黒人やマイノリティーが出演した作品が大ヒットしても、いざ映画となるといまだに白人以外を主人公にした作品の数が極端に少ないのだ。数が少なければ、ノミネーションの確率だって自動的に少なくなる。

去年はソニー・ピクチャーズのメールがリークしたことで、ジェニファー・ローレンスが自分のギャラが共演の男優よりずっと低かったことを知り、女優と男優の平等を訴える非常にクレバーな公開文書を発表し、大きな賛同を得た事件があった。これも昔からあった問題だが、現在では黒人や女性に対する不平等が、いつも以上に問題視されているということだ。

今年の司会者は、黒人のコメディアン、クリス・ロックだ。間違いなくハリウッド内の差別が冒頭のモノローグの大きなテーマ(=笑い)になるはずだ。

夜のトークショー番組では、司会者がさっそく「ヴィン・ディーゼルがこの黒人ボイコット運動に答えてこう言っていました。『俺なんかもう何年もボイコットしているよ』」と言って笑いにしていた。彼だって、『ワイルド・スピード』シリーズでとんでもない人気を獲得しているが、オスカーはまったくスルーで、誰もそれを問題にしていない。

ちなみに、次号のCUTでは、毎年恒例、LAの小西未来君とオスカー(問題)について対談します!
オスカーの発表は2月28日。

今年の俳優部門のノミネーションは以下の通り。

主演男優
Bryan Cranston ("Trumbo")
Matt Damon ("The Martian")
Leonardo DiCaprio ("The Revenant")
Michael Fassbender ("Steve Jobs")
Eddie Redmayne ("The Danish Girl")

主演女優
Cate Blanchett ("Carol")
Brie Larson ("Room")
Jennifer Lawrence ("Joy")
Charlotte Rampling ("45 Years")
Saoirse Ronan ("Brooklyn")

助演男優
Christian Bale ("The Big Short")
Tom Hardy ("The Revenant")
Mark Ruffalo ("Spotlight")
Mark Rylance ("Bridge of Spies")
Sylvester Stallone ("Creed")

助演女優
Jennifer Jason Leigh ("The Hateful Eight")
Rooney Mara ("Carol")
Rachel McAdams ("Spotlight")
Alicia Vikander ("The Danish Girl")
Kate Winslet ("Steve Jobs")
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