ミシガン州の人口わずか5000人の町から登場した新人バンドGreta Van Fleet。今年の4月に発表された4曲入りのEP“Black Smoke Rising”を聴くと誰もがすぐにレッド・ツェッペリンみたい、と思ってしまうバンドなのだが、NYで先週8月24日にマーキュリー・ラウンジ(キャパ200人)で単独ソールドアウトライブを行ったので観て来た。
最も話題になっているシングルはこちら。”Highway Tune”。聴いてみて。
前座が演奏し終って、自分達でサウンドチェックをするため私の前を通ったのだが、全員高校生みたいに若くてびっくり。というか実際それくらいの年なのだ。メンバー4人のうち3人が兄弟。ボーカルのJosh KiszkaとギターのJakeは双子で21歳。ベースのSamがふたりより若くて17歳。ドラムは彼らの親友のDanny Wagnerで彼も17歳。平均年齢は19歳ということ。
ライブの最中にもJoshが言っていたけど、「とにかくブルースがすべてだ。ブルースが好きなんだ」と、あどけない顔の彼らが言うと、思いきりミスマッチで、そこが彼らの魅力とも言える。Joshのボーカルは、実際ロバート・プラント並のパワフルさ。バンド・サウンドも思いきりへビーで、この若さでこのクラッシック・ロックなヘビーさをいつ学んだんだ?というタイムスリップした不思議な感じがある。
NYでのライブ写真がアップされている。
ザ・レモン・ツイッグス兄弟をも彷彿とさせるのだが、例えば、彼らはMGMTなども通過していてNYッ子らしい現代的なひねりがあったように思うけど、Greta Van Fleetは、ザ・ストラッツに近い感じがした。まっとうにその形式を継承しているという印象だったのだ。例えばジャック・ホワイトなどは、ザ・ホワイト・ストライプスで、ベースがいない2人にすることで、かつてのブルースを現代のものとして響かせてやろうという意志があったけど、そういう解釈とは大きく違う印象があった。なので、ザ・ストラッツが好きだった人達は好きかもしれない。実際、ザ・ストラッツと一緒にツアーしたりしている。
メンバーのあどけなさが分かる写真はこちら。
なるほど、と思ったのは、お父さんがミュージシャンで小さい時からクラッシック・ロックに触れてきたようなのだ。
http://www.guitarplayer.com/artists/1013/hot-band-alert-greta-van-fleet/63589%E2%80%AC
「Guitar Playerマガジン」によると、父親の影響で子供達は早くから楽器に興味を持ち始めたそうだ。とりわけギタリストのJakeは、すぐにギターを買って欲しいと言ったそうなのだが、プラスチックのギターで、”Night Moves" (Bob Seger)と、"Wild Thing" (Jimi Hendrix's version)をマスターしないとダメと言われたそうで、それをマスターしてから、Fender Squierを買ってもらったそう。次の課題は、”Hey Joe"(Jimi Hendrix)、”Sunshine of Your Love' (Cream)、”Smoke on the Water"(Deep Purple)だったそうだ。
子供の頃からの写真がインスタグラムにアップされていた。「この時からまったく変わっていない」とコメント付き。
観客は、半分くらいが業界人だった。NYの有名なライターもたくさん見かけた。なので、これからさらに爆発するだろう。印象的だったのは、残りの観客の中に、割と年配の人達も多かったということ。どうやって知ったのか聞いてみたら、NYの音楽好きが集まるウェブサイトがあって、そこで誰かが紹介していて、聴いてみたらツェッペリンぽくて、僕はツェッペリンが大好きだから来た、と言っていた。ボーカルが素晴らしくて本当に感動した、と。絶対大スターになるので、僕は200人のキャパで見たと後で自慢できる、とも。
ビルボード誌にも最近大きな特集ページがあった。面白いのはどのインタビューを読んでも、「もう何度も聞かれていると思うので申し訳ないのですが、レッド・ツェッペリンについて聞かせてください」という質問の仕方をしているところ。彼らは、「もちろん影響を受けたバンドのひとつ」と答えていて、「実際EPの中の”Flower Power”は、『レッド・ツェッペリンIV』のアウトテイクのようなサウンドがするかもしれない」とも語っている。でも、「影響を受けたバンドはそれ以外にもたくさんいる」と。Joe CockerやJames Brown, Wilson Pickettなどを影響力として語っている。
http://www.billboard.com/articles/columns/rock/7940889/greta-van-fleet-interview-highway-tune-meet-the-band
まだEPが4曲しかないのにどうするのだろうと思っていたら、ライブでは新曲も演奏し1時間は演奏していた。間もなくアルバムが完成するのではないだろうか?観客はすでに大盛り上がりだった。チェックしてみてください。