メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

メタリカのラーズ・ウルリッヒが、アップル・ミュージックのBeats 1ラジオで、ジャック・ホワイトにインタビューしている。ミュージシャン同士の会話というだけでも貴重なのと、ここで話しているテーマと先日書いたライブレポートが関係している部分が多いので、要約して紹介したい。

映像はこちら。




1) ライブで携帯禁止にしたきっかけについて。
「クリス・ロックがコメディショーをサードマンでやった時に(携帯をしまう)パウチ(写真)を使ってテストしていたんだよね」

メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

「それで、俺がライブでセットリストを作らないのと、スタンダップコメディアンがステージに立つのと似ているところがあると思ったんだ。例えば、コメディアンがトランプのジョークを言って誰も笑わなかったら、この観客には違うタイプのジョークを言わなくちゃ、とすぐに思うと思うんだ。それがうまくいったら、これなら大丈夫だ、このまま続けようって思うと思う。

俺がセットリストなしでやるライブも同じだと思う。例えば、俺が曲を終えた瞬間に、観客が『しーーーーん』となってしまったら、さてどうしよう、と思うからね。次は、もっとヘビーな曲にするべきか、もっと速い曲にするべきか、またはアコースティックにするべきか?って考えるから。または、え、もう終わって欲しいと思っているのかな?とかね。帰って欲しいなら帰るけど、ってね(笑)。

そこで俺が嫌なのは、『しーーーーん』となった時に、それが本当につまらなかったということなのか、または、単に携帯で下を向いていて、ちゃんと聴いていなかったからなのか、よく分からないことなんだ。

これまでは俺達は、ライブの前にスタッフが登場して、携帯で写真は撮らないでください、とお願いしてきた。観客は『イエーイ!』と同意してくれて、スクリーンを堂々掲げて写真を撮る人は減ったんだ。それでも、下を向いて携帯をいじっている人達がいて、俺はそれがどうしても好きじゃなかった。ライブに没頭してくれていなかったからね。

でも、例えば映画館とか、クラッシック音楽、教会などでは、まだ人が携帯を見ずに没頭している瞬間というのはあるわけだ。俺個人としては、ロック・コンサートは、パンクでルールなんて何もないという方がもちろん好きなんだけど、でも、次に何を演奏すればいいのかまるで分からない、という状況は嫌なんだ。だって、それが分からないと困るから(笑)。これからもずっとそんな状況でライブを続けなくちゃいけないなら、俺はどうすればいいのか分からない、と思った。実際セットリストを作って、どこでどうやって観客と結びつけばいいのか、真剣に計画を立てなくてはいけなくなるってね。

それからもう一つ言えるのは、俺には、ラジオのヒット曲がない。それさえ演奏すれば、フェスで何万人もが盛り上がり、合唱してくれるという曲がない。1、2曲はあるかもしれないけど、(レッド・ホット・)チリ・ペッパーズとか、グリーン・デイのように、15曲演奏すれば全曲を何万人もが大合唱してくれることがない。もちろんメタリカもそういう曲があるわけですが。でも、俺にはない。だから俺は、人とは違う状況でライブしている。もしかしたら、携帯禁止と言ったら、金を返せと言う人が出てくるかもしれない。それも面白いと思うんだ。だから、俺は、喜んで実験台になるよ(笑)」

メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

2)ラーズが目撃したコーチェラのバックステージでのジャックの姿。
ラーズ「何年か前(2015年)に君がコーチェラのヘッドライナーをした時に、バックステージで会ったよね。君はステージ前のウォームアップをしていた。だけど、突然、『ジャックがあなたにトレーラーで会いたいと言っています』と言われたから、トレーラーに行ったら、君が、『一緒に音楽を演奏しよう』と言った。それで確か、レインボーとか、フィアーとか、パンク・バンドなどを演奏したと思う。これから、世界でも最も大きなフェスの一つ、コーチェラのしかも、土曜日にヘッドライナーに立つ直前に、最高と思える曲を演奏していたと思う。

だけど、そこで野球のバッドが出てきた(笑)。野球のバッドが登場したんだよ!そこで君は野球のバッドを振り回し始めたよね。あれは、マジですごい瞬間だったよ。君はライブの前にいつもバッドを振り回しているの? それともあれはコーチェラだったから?」

ジャック「俺は、すべての感情の究極を表現したい、といつも思っている。それが俺達の仕事だと思っているから。喜びや、怒りや、喪失、暴力的な感情や、幸せ、愛、笑い、俺はそのすべての感情を表現したいと思っているんだ。

それで、ある時、イギー・ポップがザ・ストゥージズでオーストラリアをツアーをしている時に、バックステージで会ったことがある。その日の昼間に(イギーに)ランチで会って、音楽についてすごく良い話ができたんだ。それでその夜、ライブが始まる直前に、『挨拶に来なよ』と言われたから、楽屋に行ったんだ。そしたら、クラッシックカーについて話していたから『俺も、60年のサンダーバードを持ってる』と言ったら、イギーが、俺を睨んで『だから?』って言ったんだ。

俺は、『えっ、マジかよ。イギーは俺に喧嘩売ってるのか?』って思ったんだ。俺に殴りかかってくるような顔だったんだ。それで俺はすぐに『それじゃ』って言って、楽屋から出て、スタッフの一人に『俺は何かやばいこと言ったかな?』って聞いたんだ。そしたら、『そうじゃない、そうじゃない、彼はステージに上がる前の気持ちを上げていただけなんだ。それは闘いみたいなものだから』と言われて、『良かった!!俺もライブの前はそう思うから!』って言ったんだよね。彼は俺のアイドルの一人だから、一瞬びっくりしたんだ。ホッとしたよ。俺も、ステージに上がる直前は、お年寄りや赤ちゃんに挨拶するのを止めるからね。ステージに上がる前は、ハードコアな場所に気持ちを持っていかないといけない。それは闘いであり、障害を克服するということだから」

ラーズ「でも君がバッドを振り回しているのを見た時は、マジでこれぞ”ロックンロール”な瞬間だと思ったよ(笑)」

メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

3)”Seven Nation Army”のギターリフを思いついた瞬間の思い出。
ジャック「オーストラリア・ツアーのサウンドチェックで、”Seven Nation Army”のギターリフを思いついて演奏したんだ。それで友達のBen Swank(サードマンの創設者の一人)に聴かせて、『どう思う?』って聞いたら、『うーん、まあまあかな』って言ったんだよね(笑)」

ラーズ「彼に意見を聞くのはもう辞めた方がいいね(笑)」

ジャック「それで彼を永遠にからかっているんだけどね(笑)」

ラーズ「じゃあ”Saven Nation Army”ができた瞬間にみんなで大騒ぎしたわけじゃなかったんだ?」

ジャック「ないない。それにバンドのドキュメンタリーを見ていて、1位になってみんなでシャンペンを開けて大騒ぎしている映像なんかを見て、あれってどういう気分なんだろう。俺は体験したことがない、っていつも思うんだ。それは寂しいね」

ラーズ「ヘットフィールドと俺も、若い時はお互いを誉め合うなんてこと一度もなかったよ。でも、今はそれが変わった。もう最悪な部分はくぐり抜けたからね。そういう色々をくぐり抜けたおかげで、35年経った今目が覚めて、『これってマジでクールなことだ』と思えるようになった。だから、今は、全員が良い気持ちで参加できているのかどうか、が一番大事な要素になった。バンドの健全さがね。このスケジュールで全員良いと思っているかどうか、とかね。ほとんどそれ以外の部分は、例えばクリエイティヴな面などは、そういうことが整っていれば、しっかりと出てくるものだと思っているんだ。ツアーで4人が幸せだと思えてさえいれば、それ以外の事は、飾りみたいなものだと思えるようになったんだ」

4)新作の”Ice Station Zebra”が狂ってることについて。
ラーズ「”Ice Station Zebra”の最初の90秒から2分までの間は、マジで狂ってよね。マジで狂ってるよ。あの曲の最初の数分間が、このアルバムで何をしたのかを象徴しているような気がするんだけど」

ジャック「その通りだと思う。あの曲は、数年前にJAY-Zと一緒にアルバムを作ろうとしていた時にできたもので、結局は完成しなかったんだ。あの曲は俺がドラム、ピアノ、ギターとベースを演奏して、彼に送って、彼が曲を書いてくれるかなと思ったんだけど、でも何も送ってこなかった。だから、そのままあって、今回レコーディングしている時に、その曲があったことを思い出したんだ。それでみんなと演奏したらどうなるか見てみたんだ。そしたらクールなサンプルから、パーカッションから、演奏してくれて、本当に命を授かったように思えたんだ。すごく複雑に作られたけど、しっかりと編集した曲の代表だと思う」

ラーズ「完全なフリーフォームと、素晴らしいアレンジが絶妙なバランスで共存する曲だと思う。それにこのアルバムは、”What’s Done is Done”から、アル・カポネの楽譜によるカバーから、ものすごく幅広い音楽を網羅した作品になったね(笑)。クレイジーな”Ice Station Zebra”のような曲から、ほとんどララバイかと思えるような曲まで。それは最初から目標としてきたことだったの? それとも自然にそうなったの?」

ジャック「曲が行きたい方向に行ったまでなんだ。レコーディングの方法や環境は俺が決める。それは重要な部分だけど、そこからどんな音楽が生まれるのかは、事前には考えていないんだ。だから(ドボルザークの)”Humoreque”をレコーディングするとも思っていなかったし、何年も完成できなかった”Over and Over and Over”ができるとも思っていなかった。結果このアルバムは1曲ずつが全く違うタイプの曲になった。だから嫌いだという人もたくさんいると思う。同じようなテーマやムードにして欲しいと思っている人も多いと思うからね」

メタリカのラーズがジャック・ホワイトにインタビュー。ラーズが見たジャックの最も”ロック”な瞬間、携帯禁止、セットリストなし、などについて。映像。

5)ラーズの後悔。
ラーズ「『デス・マグネティック』のツアーで、確か2009年にナッシュビルに行った時に、サードマンを案内してもらったことがあったけど、その翌日にライブがあって、午後3時が集合時間だったんだ。それで、3時に集合したら、ツアーマネージャーが、『実は今日の朝ジャック・ホワイトのスタッフから連絡があって、ジャックがスタジオに来てジャムをしたいと言っていると言われました。でも、あなたを眠らせてあげることにして、連絡しませんでした』って言われたんだ。それを聞いて、『ふざけんな!』って言ったんだよね(笑)。『次にジャック・ホワイトがジャムしたいと言ってきたら、叩き起こしてくれ!』ってね(笑)。というか、次にジャムしようと思ったら、直接前もって言ってくれよ(笑)」

6)新メンバーについて。
ジャック「ツアーが軌道に乗り始めたら、サウドチェックはあまりやらないんだ。リハーサルしすぎると、その夜のエネルギーを台無しにしてしまうと思うからね。だけど、今は始まったばかりだし、新メンバーだから、この数週間で60曲くらいのリハーサルをした」

ラーズ「君がセットリストを作らないのは有名だし、以前もそれについて話したことがあったけど、ということは、メンバーは、その60曲をその瞬間にどの曲なのか見極めて演奏していく、ということだよね?」

ジャック「そう。そうなる予定だ(笑)。それに場合によっては、一度もリハーサルしたことない曲を突然演奏し始めたりもするけど、でもその曲がリハーサルした曲より全然良い曲になることもある。それに、それぞれの曲にそれぞれのメンバーがどんな新しい要素を加えてくれるかが醍醐味でもあるしね」

このインタビューでは、その他、新メンバーをケンドリック・ラマーなどのビデオを見て選んだことや、デトロイトからナッシュビルに引っ越した理由などについても語っている。ジャックは、最後に、ミュージシャンと話すのは、また違う体験だったとラーズにお礼を言って終わっている。
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