フジロックに出演するMGMTがNY新ライブ会場のこけら落とし!!”ネバーエンディング・ストーリー”のカバー。

フジロックに出演するMGMTがNY新ライブ会場のこけら落とし!!”ネバーエンディング・ストーリー”のカバー。 - Photo by Akemi NakamuraPhoto by Akemi Nakamura

最新作『リトル・ダーク・エイジ』で、原点回帰的なエレクトロポップサウンドの作品を完成させたMGMT。地元NYでキャパ3000人×3日間即ソールドアウトのライブを行ったばかりだが、それに加えて、なんとNYで新たにオープンしたSONY HALLというライブ会場でこけら落としのめでたい無料ライブを行った。

3日間もソールドアウトのライブを行っていたし、さらに現在ツアーの真っ最中でもあるので、この日のライブは完璧とも言える内容だった。そもそも、会場は彼らにしてはあり得ないくらい小さいし、無料だったこともありチケットはすぐになくなっていた。おかげでこの貴重なライブに来られたファンは超ラッキー!ステージ前の熱気も異様で、ぎちぎちに埋まっていた。

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ライブは、最新作が初期のポップ・モードに戻っていることもあり、新曲の”Little Dark Age”と、”When You Die”を演奏した後、早速”Time To Pretend”につながったから大盛り上がり。デビュー作であまりに人気が出すぎたことに戸惑った彼らは、その後の作品で、自らのアイデンティティを確立するように宇宙を探求するような作品を作った。しかし今回インタビューした際に興味深かったのは、この作品の方向性が見えるまで、アイデンティティ・クライシスに陥っていたということ。そこからアリエル・ピンクや、チェアリフトのパトリック・ウィンバリーの力を借りて、再び自信を取り戻すことができた。おかげで今は過去の自分達を素直に受け入れられるようになっていたのだ。

それがこの日のセットリストにも表れていたように思う。初期の頃からのヒット曲と最新作のポップな曲が絶妙に混じり合っていたから。

“Little Dark Age”のテレビライブパフォーマンス映像はこちら。


4曲目に演奏された”She Works Out Too Much”では文字通り、アンドリューが自転車こぎをしながら歌っていて、そのふざけ方というか、子供っぽいことを無理なくできるのがさすがMGMTだと思った。そもそも、アンドリューもベンも、もう30代とは言え、二人とも童顔でデビュー時より可愛いところは変わらない。さらに、彼らのそのピュアな感性と子供っぽい鋭さ、正義感、観察眼、新世代ならでのは世界への不安、というものが彼らの曲を引き続き人々の心に訴えてくるものにしているとも思う。

この日は、ライブ全体でも、”ダークな時代”だからこそ、”少し”明るいものを表現しようとしていたと思う。

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ベンがボーカルを取る”When You Are Small”では、彼が地面に座る形で、文字通り小さくなって歌っていたが、非常にメランコリーにエモーショナルな曲を奏でる美しい場面だった。そこで会場が一瞬しんみりしたかと思うと、続いて、”Electric Feel”で会場は大盛り上がり。去年のフェスに出演していた彼らを観ていて思ったけど、彼らには本当に時代を代表するアンセムが何曲かある。とりわけフェスのような場所ではそれを持っていると大きいと実感した。それらの曲が始まるとファンでもファンじゃなくて、ステージに向かって一斉に走って行って、踊り出していたから。この日ここで”Electric Feel”を演奏した時も、会場の熱が一瞬で上がっていた。

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続けてディスコビートの”James”や、携帯に夢中なカルチャーを嘆く”TSLAMP “など、ライブは、終始ダンスフロアでみんなを楽しく躍らせながらも、時々エモーショナルな、今の時代を嘆くような曲を絶妙に入れながら進んでいった。極め付けはメランコリーな”Congratulations”だったと思うが、それに続き、以前インタビューした際にアンドリューが「この曲ができた時に全体像がまとまったと思えた」と言っていた彼らの中では重要な新曲”Me & Michael”を演奏。「楽しいポップ・ソングがどんなものだったのか思い出せた」と紹介していた。

“Me & Micheal”のテレビライブパフォーマンス映像はこちら。


そこからさらに彼らのサービス精神が発揮された。もちろん、”KIDS”をやったのだが、なんと映画『ネバーエンディング・ストーリー』のテーマ曲につながったから、胸きゅん!! それが今回のツアーのハイライトと言えるような気がする。80年代サウンドで合っていたというのみならず、当時のファンタジーも蘇らせてくれたように思う。そこからMGMTっぽくないと思うようなことをやった。なんとアンドリューが、「手を掲げて、手拍子して!」と言って、「全員がやるまで帰らないよ。僕らはここに永遠いて演奏してもいいから」と言ったのだ。彼らの成長を感じた瞬間だった。そしてそこで終わると思ったら、再び”KIDS”に戻ったので、とりわけかっこ良かった。

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アンコールは、最新作も締めくくる”Hand It Over”とセットリストでは書かれていたが、実際演奏されたのは、ファースト・アルバムからの”Weekend Wars”だったからさらに完璧。ツアー中には、”Hand It Over”の次に”The Youth”を演奏することもあるみたいだ。ファーストと最新作のモードが上手く混じり合い、”Congratulations”などのヒット曲も入ってくる。ある意味最強のセットリスト。しかしそれをこれでもか、という力んだ感じで演奏しないところも彼らのしなやかさであり良いところだと思う。”ダークな時代”を”少し”だけ軽やかな気分にしてくれるのだ。

フジロックでは単独のライブより時間が短いので、この大サービスのセットリストに近いものが聴けるのではないかと期待!! 楽しみに待って欲しい。

フジロックに出演するMGMTがNY新ライブ会場のこけら落とし!!”ネバーエンディング・ストーリー”のカバー。 - Photo by Akemi NakamuraPhoto by Akemi Nakamura

この新会場はさすがソニーが最新のテクノロジーを投入したというだけあり、音が良かった。

元々はNYタイムズスクエア近くにあるおしゃれなホテル、パラマウントの地下にあったなんと1938年に建設された趣のあるホールを今回新たに改装したもの。なので、キャバレー的な雰囲気もあり素敵だ。1000人のスタンディングに加え両サイドには椅子席もあり、500人が着席できて、しかも食事もできるようになっていた。

さらに年末までには、わずか40人キャパの親密なステージもできるということ。

経営やブッキングは、NYの老舗クラブ、ブルーノートが関わるということで、今後のラインアップも楽しみだ。
https://www.sonyhall.com/

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この日のセットリストは以下の通り。
Intro
Little Dark Age
When You Die
Time To Pretend
SWOTM
Alien Days
When You’re Small
Electric Feel
James
TSLAMP
Congratulations
Me & Michale
KIDS

Encore
Weekend Wars
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