U2@NY上陸!

U2@NY上陸!

日本から遅れること数日、
アメリカでは今週3月3日にようやく
U2の新作『ノー・ライン・オン・ホライズン』が
発売になる。

彼らが、大統領就任式に出演したそのすぐ後に、
今度はグラミーに出演し、シングルを披露した時は、
一般的な新作への期待はかなり下がっていた。
それじゃなくても、「おしつけがましい」とか
「あつかましい」と言われがちなボノは、
全方面から出過ぎだと叩かれていたし、さらにシングルも
いい曲ではないと言われ、実際アメリカにおいては
ラジオ・ヒットを記録することはなかった。
新譜は期待できないとその時誰もが思っていた。

しかし、批評家のところへアルバムが届き、
そしてほとんどすべての人のところへリークした
アルバムが届くと、
その評価は一変した。
ローリングストーンのレビューはこの間紹介したが
その後もほとんどが、
これは、間違いなく『アクトン・ベイビー』以来
バンドが自分達のサウンドを再構築したみせた
革命的な作品であると大絶賛。
シングルもこのコンテクストの中で聴くとまるで
違う役割の曲じゃないか、と。
すでに、アリーナ・バンドとして定着し、
今の若いバンドが彼らのサウンドを掘り起こしている時代に
まさかこの恐竜のような巨大バンドが、
自分達の過去のサウンドを蹴り飛ばし、
時代に一石を投じるような、
情熱を見せる作品を作るとは思ってみなかったと
驚きの賞賛をおくっているのだ。

面白いのはブロガーで
シングルとグラミーあたりで
散々最悪だ、と言ってしまったものだから
引っ込みが付かなくなったのか、
「期待を低くしていたおかげで
そんなに悪くなかった」などと書きつつも
1曲1曲に対する事細かな分析を
載せたりしていて、それを読んでいると
感動が隠し切れていない。

ボノは、この作品のクオリティには自信があるが、
それが時代に訴えかける作品なのかが
自分ではわからない、と語っていた。
しかし、それに対しても、ほとんどの批評家達は、
時代に大いなる意味を持って響く作品だと
言っている。

U2は、これから1週間、TV番組の
ミュージカル・ゲストとして出演した後、
ブロンクスの大学でサプライズ・ショーを
行い、それもTVで放送されると言われている。
引き続きTVに出まくる彼らについては
「ボノは、自分に主張したいことがあれば
政治家より上手く主張する」と今日ラジオで
言っていたが。
人によっては、これだけ掟破りの作品を
作ったのだから、例えばトレント・レズナーのような
手法を使って宣伝を繰り広げるべきだ。
グラミーに出るのではなくて、グラミーの行われている会場の
屋上でライヴをして、システムに中指を立てるような
ことをしてみるべきなのだ、と言っていた。
そしてそのアドバイスを聞いたのかイギリスでは
屋上で演奏していたようだが。

NYでTV番組が収録されるのは
タイムズ・スクエアのど真ん中にあるスタジオだ。
360度電光掲示板の光を浴びながら、
その屋上でライヴをやることも十分にあり得るような気がする。
どちらにしても「あつかましい」ボノは、
来たからには、U2アメリカ上陸の旗をびゅんびゅん振りかざし、
一旋風を起こして帰るだろう。
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