先週の頭、3月9日にビリー・アイリッシュの全米アリーナツアーが開始された時はまだ15日のNYライブも行なわれるだろうと思っていたが、木曜くらいにすべてが急変した。ビリーのツアーも、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのツアーも、トム・ヨークも、何もかも延期された。
「3月のツアーは延期になってしまった。でもここまでの数回のライブは幸せだった。すぐに戻ってくるから。みんな安全に健康に」
ビリーのツアーに関しては、現時点で3月いっぱいは延期され、4月3日のLAでのライブから再開できるのか?というところ。すでに行なわれたツアー数日の様子を彼女のカメラマンやお母さんなどがポストしている。スケール感が上がっているし、その興奮が写真や映像から伝わってくる。
一方、レイジは5月20日のライブまでを延期している。5月23日のBoston Calling というフェスから再開できるのか?というところだ。
これはビリー側だけの判断ではなく、ツアーを運営しているLive NationやAMGなどは会社として、その他関わっているツアーやイベントもすべて延期、キャンセルしている。当然コンサート産業は大打撃だが、自分達の利益よりもこれ以上新型コロナウイルスがいかに拡大しないのかということを何より優先しての判断ということになる。
また、SXSWがキャンセルされたことをきっかけにコーチェラも延期。ファレルが主催するフェス、Something In the Waterも今年はキャンセルされた。現時点では5月くらいまで開催予定のフェスのほとんどがキャンセルか延期となっている。ちなみにレコード・ストア・デイも6月20日に延期された。
NYではその他にも美術館、ブロードウェイ、単館のアート系映画館、レストランも、アメリカ疾患管理予防センターなどのガイダンスに従い、観客の健康とこれ以上拡大しないことを第一に考え、一時的に閉館を決めている。このような事態となってしまったことによる悲痛な思いが伝わってくるメールも次々と届いている。
ただメトロポリタンオペラなどは、みんなが自主的に外出禁止しているのを受けて、ネットでオペラの映像を流すことにするとツイートしていた。
またMoMAも「家から美術館」というハッシュタグで、毎日その日のインスピレーションとなる作品をポストしている。マチスの作品のように「リラックスしましょう」とか。「今日はオノ・ヨーコにインスパイアされて、家にある絵を踏みつけてみましょう」とか。素敵だ。
ちなみに、もうご存知かと思いますが、NYのエンタメ産業どころか、アメリカでは野球もバスケもディズニーランドも何もかもやっていない。そんな「世界の終わり」感が漂う中、R.E.M.の33年前の曲“It's the End of the World as We Know It (And I Feel Fine)”が再チャート入りした。
正にNYが非常事態宣言を発令した3日前から、アメリカのiTunesチャートにランクイン。私が見た時は58位だった。
87年に発表されたアルバム『ドキュメント』に収録されたこの曲は、発売当時は全米シングルチャートでは69位を獲得している。
マイケル・スタイプは今どんな気分なんでしょう?
直近のポストでは、3月2日にバーニー・サンダースについて興奮して語っていた。「スーパー・チューズデー」にかけて“Ruby Tuesday”の替え歌を歌っている。