コーチェラが正式に10月延期、キャンセルされたSXSWは資金難で社員50人を解雇……さらにパール・ジャムは初めて米単独ツアーを延期に

コーチェラが正式に10月延期、キャンセルされたSXSWは資金難で社員50人を解雇……さらにパール・ジャムは初めて米単独ツアーを延期に - pic by Panoramapic by Panorama

1)4月に開催される予定だったコーチェラ・フェスが正式に10月に延期となった。主催するゴールデンボイスがツイートで報告した。

SXSWと共通しているのは、彼らとしては開催したかったが、開催地である郡からの要請があったのでそれに従う、というところだ。


以下要約。

Riverside郡と地元保険当局の指示に従い、新型コロナウイルスの懸念から、残念ながらコーチェラとステージコーチの延期を決定しました。現在世界的にも状況が不確かであるため、我々は観客、スタッフ、コミュニティの安全と健康を何より真剣に考えた上でこの決断に至りました。各地の保険当局によるガイドラインと実施計画に誰もが従うべきだと考えています。

コーチェラは2020年10月9、10、11日と、16、17、18日に開催。ステージコーチは2020年10月23、24、25日に開催されます。4月開催のチケットはそのまま10月開催にも有効です。もしスケジュールの変更に伴い来られない場合は、13日までにどのように返金の手続きをするのか連絡します。

引き続き皆様の支援に感謝します。この秋に砂漠でお会いできるのを楽しみにしています。


この短い文章からも、主催者の悲痛な思いが伝わってくる。だが、肝心のラインアップがどのようになるのかは書かれていない。

各誌が報じていたところによると、SXSWのキャンセルが発表された先週金曜日の段階で、各アーティストへ延期になっても出演できるか訊き始めていたという。なので、大まかなラインアップは近々発表されるかもしれない。


ローリング・ストーン誌によると、コーチェラが開催されるRiverside郡では昨日のレポートからさらに増えて、6人のコロナウイルス患者が報告されているそうだ。
https://www.rollingstone.com/music/music-news/coachella-canceled-coronavirus-964370/

2)SXSW

コロナウイルスにより打撃を受けているコンサート産業だが、特に悲しいのは先週金曜日にキャンセルを発表したSXSWが、この週明けの月曜日に赤字に歯止めをかけるため、約175人の社員のうち3分の1にあたる約50人ほどを泣く泣く解雇したと語っていたこと。これについてはVariety誌が報じている。
https://variety.com/2020/music/news/sxsw-lays-off-one-third-of-employees-in-heartbreaking-step-1203528553/

以下SXSWによる声明文。

オースティン市で3月に開催予定だったSXSWをこれまでに前例の予想外の理由でキャンセルしたことにより、我々はSXSWの運営について厳密に見直しをせざるを得なくなった。その結果、従業員を減らす以外にないという想像を絶する位置に立たされてしまった。

そして本日社員の3分の1を解雇するに至った。ライブイベント業界に携わってきた人達なら、SXSWレベルのイベントを実践するのにどれくらいの信頼関係が必要なのかは分かってもらえると思う。なのでこんなにすぐに社員を解雇しなくてはいけなくなって本当に残念だ。将来を考えるとこれは必然ではあったとは言え、心が張り裂けるステップだった。


また、地元新聞Austin Chronicleによれば、今回従業員を解雇することが「赤字を止める唯一の方法だった」と、SXSWの役員が語っていたという。
https://www.austinchronicle.com/daily/news/2020-03-09/sxsw-lays-off-some-50-employees-after-cancellation-of-2020-festival/

さらに、SXSWの主催者はウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューにも答えていて、こういう大きなイベント、フェスというのは通常保険に入っているが、伝染病や感染病によるキャンセルについての項目はなく、今回損害はカバーされなかったというのだ。

そのため、このままでいくと来年の夏には資金が底を突いてしまうので、援助が見つからなかった場合は来年のSXSWが開催できるかも分からない、と。ちなみに、SXSWは最初からのポリシーで、一度取得したバッジ(フェスに参加するために必要な入場パス)は払い戻しできない。ただし、今回の場合は来年か、再来年にバッジが使えるという。
https://www.wsj.com/articles/south-by-southwest-hit-hard-by-coronavirus-cancellation-11583711311

実は保険がカバーしないというのは今回の大きな問題で、開催が危ぶまれているカンヌ映画祭もキャンセルをすると大きな損失となる。カンヌ映画祭も通常の保険には入っているものの、基本条項の中に伝染病や感染病によるキャンセルは含まれていない。

なので、1月になって別途で買おうとしたら、すでに新型コロナウイルスが発生していたため、保険会社の項目から消えていた。カンヌ映画祭はキャンセルされると約22億円の損失となる。フランスがこれまで5000人を超える集会を禁止していたが、新たに1000人を超える集会も禁止にしている。

カンヌ映画祭はどうやって開催するのか不明だが、現時点ではキャンセルは発表されていない。今年は審査員長としてスパイク・リーが、黒人として初めて選ばれている。


3)Ultra Music Festivalはチケットの払い戻しなし

同じ理由でUltra Music Festivalも保険がカバーされていないそう。ただ、それとは関係なく、Ultraは元々チケットの払い戻しはないというシステムだったみたい。

コーチェラもそうだが、Ultraもあえて「キャンセル」という言葉は使わず、「来年に延期」と発表した。これについては「キャンセル」と言ってしまうと返金をしないといけないからだということ。チケットは来年開催される際に有効で、行けない人はその他のイベントに行くか、マーチを50%引きで買えるなどのクーポンがもらえる。いまいち納得できないけど、最初からそういう決まりなら仕方ない。

コーチェラは行けない人へは払い戻しされるが、「延期」としたことで一斉に全額払い戻しすることを防いでいるのだそう。ちなみにコーチェラが保険でカバーされていたのかどうかは不明。

4)パール・ジャムが全米ツアーを延期

これまで多数の人達が各地から集まるフェスやイベントはキャンセル、延期されてきたが、全米の単独ツアーとしては私の知る限りでは初めで、なんとパール・ジャムが3月18日から開始する予定だった北米ツアーを延期した(涙)。

彼らの拠点であるシアトルはワシントン州にあり、全米でコロナウイルス患者が最も多く現時点では279人、死者は24人にものぼっている。まだ増え続ける一方なので、シアトル市は現在250人以上が集まる集会を禁止している。それが今回のバンドの決断に大きく影響している。

エディ・ヴェダーはバンドを代表してその悲痛な決断をツイートしている。


以下要約。

シアトル市民として、強烈な打撃を受け、この悲惨な状況がどれだけ早く拡大してしまうのか直接目撃した。僕らの子供達の学校は休校となり、オフィスや大学も閉鎖されている。あまりに残酷な状況で、改善する前にさらに悪化すると思う。

そのため多くの人が集まるイベントの開催は、世界的な健康の危機が我々の日々の生活に影響し始めた今、最も避けるべきリストの中に入っている。それで残念ながら、多くの人達と交わるというのは、我々のバンド活動においては大きな部分を占めている。だから、何ヶ月もかけて準備してきたツアーが今危機に晒されてしまった。

僕らは、常にサポーターの安全と健康を最も大事なことと考えている。

なので、この本当に不運な告知をせざるを得ないことには、深いフラストレーションを感じるしあまりに残念だと思っている。

PJ/Gigatonツアーのファーストレグは、延期せざるを得ない。

僕らは、マネージメントや関係者達と何かしらの解決策はないのかと話し合ったが、それでも観客とコミュニティのリスクが高すぎて安心できるレベルではなかった。

さらに僕らのファンはとりわけ非常に情熱があって、世界中からツアーに集まって来る特別な人達だ。それについてはいつもありがたく思っているし、そのエネルギーと献身的な思いには敬意を表している。ただし今回の場合は、旅行は避けるべきことである。

人々の安全と仕事に行けるかどうかについて、政府から明確なメッセージがないというのもまた問題を悪化させている。政府の衛生局にこれを改善する能力があると知る前例もなく、これから先、状況がコントロールされていると信じる理由もない。

シアトルで目撃していることは、誰にも起きて欲しくないことだ。なので、アメリカのその他の地域に伝えたいのは、酷くネガティブな効果は避けられるということ。コミュニティ意識を持ち続け、お互い助け合えるはずなんだ。僕らは次のコンサートを楽しみにしているし、またみんなで集まってラウドな曲をあらん限りのエネルギーで演奏できることを楽しみにしている。

本当に残念だ。
そして深く動揺している

もしニュースを聞いて同じように感じている人達がいたら、僕らも同じ気持ちでいるから。

エド&パール・ジャム


私も3月30日のマディソン・スクエア・ガーデンのチケットをもらっていて、写真も撮り、レポートもする予定だったので本当に残念だとしか言いようがない(涙)。

現時点で延期されたのは、3月18日〜4月19日まで。
https://pearljam.com/tour

なお、6月23日に開始するヨーロッパツアー、フェス出演などがどうなるのかはまだ分からない。
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