ビリー・アイリッシュ、とうとう2年ぶりに世界ツアーを再開。NYでは夢が叶ったと泣いちゃった。初日ニューオーリンズの模様がドキュメンタリー映像で公開!

ビリー・アイリッシュ、とうとう2年ぶりに世界ツアーを再開。NYでは夢が叶ったと泣いちゃった。初日ニューオーリンズの模様がドキュメンタリー映像で公開!

ビリー・アイリッシュが2020年3月に開始し、たった3回で休止、キャンセルとなった世界ツアーを、ようやく2年ぶりに再開した。初日は2月3日にニューオーリンズのスムージーキングセンターで行われたのだが、その模様が12分のドキュメンタリーになって公開された。こちら。


この映像の初めにも書いてある通り、「2年前ビリーの2020年のツアーは、3公演行いキャンセルされた」。実は、私は4公演目の3月13日のフィラデルフィアと15日のNYマディソン・スクエア・ガーデンのチケットを持っていたのであまりに不運だった。なので今回は、なんとニューオーリンズまで行ってこのツアー初日を観た!

実は、無事観れた時は本当に感涙だったが、この日はなかなか波乱万丈だった。本来前座のウィローが「プロダクションが十分ではない」という理由でキャンセルし、急遽Dora Jarに決定したのだが、なんと彼女がライブ当日に検査で陽性になってしまい出演不可。急すぎて代わりも見つけられないので、ビリーが予定より30分早く出ると発表された。

また、この日の天気が異様に変わりやすくて、始まる前にいきなり暴風雨となり、傘もさせない位だった。まるで今の激動の世界を映し出しているようだった。が、でもだからこそ感動もひとしおだった。

映像の3分あたり:
このドキュメンタリー映像を見ていて改めて感心するのは、ビリーがどれだけライブの詳細の演出にまで拘っているのかだ。この曲での照明の色が強すぎるとか、自分が好きなアーティストのコンサートに行ったら、可能な限り素のアップで顔を観たいから、全身の映像より顔のアップを増やして欲しい。あまり色も画質も加工しすぎないで欲しい、などお願いしている。実際、去年観たフェスのヘッドラインの時より加工された映像は減っていた。

ビリーは写真集『ビリー・アイリッシュ』を作った時も言っていたけど、ここでも、自分が好きなアーティストのライブを観た時に何が観たいのかというあくまでファン目線を一番大事にしているところがブレてなくて感動する。

映像の9分あたり:
このドキュメンタリー映像の中でも一番泣きそうになるのは、ファンに手を降っているところ。ビリーも「これが大好き。ファンが待っているところに手を振るとオーマイガーめちゃ嬉しくなる」と語っている。ライブでも、”everything i wanted”の時に観客席のファンの顔が次々にスクリーンに映し出される場面があり感動する。またライブのハイライトでもある、”overheated”, “bellycahe”, “ocean eyes”でビリーが観客席後方に作られたクレーンに乗って後ろの方の席に座っている観客に最も近づく場面も歓声がハンパなくて感動的だ。

映像の8分あたり:
それとツアーで一貫して拘っているのは、地球環境を守るために、とりわけビリーのお母さんが率先して、Eco Villageを設定していること。プラスチックに入った水を買う代わりに、ボトルを持ってくれば水がただでもらえるように設置されてあったり、ビーガンを勧めたりしている。また、会場内でベジタリアンが食べられるブースの案内などもしている。

1)ニューオーリンズ

ライブは簡単に言うと、2019年に行われたツアーの「2.0バージョン」だ。だからステージでの衣装も前回のツアー同様のオーバーサイズなTシャツになっている。毎日違うTシャツだけど、基本アニメかゴスっぽいデザインが多い。

前回のツアーからすでに3年は経っているものの、よく考えてみれば、2019年のツアーは、ビリーが世界的に大ブレイクした瞬間だったので、長年NYに住んでいるけどあんなにチケットが取れなかったコンサートもないと言うくらいで、多くのファンはむしろ観られなかったのだ。だから、前回のツアーを基本にしながらも、全てをアリーナ・サイズにダイナミックに演出、拡大したものになっている。

スクリーンはより巨大になっているし、大きく変わったのは照明で、より演出効果を上げている。さらに花道もあり、後方にクレーンもある、紙吹雪も舞う。

ただ驚くのは、今最も人気のあるメインストリームのアーティストとしては、セットも演出も異様にシンプルだと言うこと。しかしライブ中に物足りないと思う瞬間は皆無だ。それは、ビリーの存在そのものカリスマ性だけで十分90分アリーナを埋められること。さらに、当然曲の良さとバラエティの多さによるものだと思う。

”Oxytocin” では、「みんな一旦低くなって。そして一斉にジャンプして!」とダークなダンス・チューンで踊りまくる。前回のツアーでもやっていた演出なので、気に入っているんだと思う。
また、兄と2人でステージの中央の椅子に座って「自分が書いた一番好きな曲」と静かに”Your Power”をアコギで歌い上げる。前回は”i love u”で兄と一緒にベットに座って歌っていた。

”when the party’s over” では、「私たちが今安全で、健康で、幸せで、ここに集まれたことをありがたく思う。みんなマスクしたまま、深呼吸して、お互いの場所を空けてあげて。リラックして、そしてみんでここで生きていることをハッピーに思って。今を生きて」と語り、「この曲では、写真を撮りたかったら撮ってもいいけど、目から外して、あなたの目で私を見て。私も携帯じゃなくて、みんなの顔が見たいから」と言った。これは前回のツアーでもこの曲で言ったので、もう何度も聞いている言葉ではあるんだが、何度聞いても泣けてくる。彼女の強い思いが本当であるのと、曲が良いことの両方のせいだと思う。

”all the good girls go to hell”が歌い終わると、「後ろに映し出される地球温暖化の映像を見るといつも泣いてしまう」と語り、「みんなでみんなを面倒見合って、可能な限り地球をより良くするために頑張ろう。私もみんなのこと大好きだから、みんなのために頑張れるだけ頑張る。この曲はみんなに捧げる」と言って、”my future”を歌う。

今回新しかったのは、ドキュメンタリー映画の1分50秒くらいのところに「先週撮影したばかり」とビリーが語る”Billie Bossa Nova”があるけど、その曲のムーディなダンス映像が流れると、ファンの女の子たちがビリーにブラを投げる(笑)。

また、”Lost Cause”の「お花を贈ったのに、気にもしてない」という歌詞のところで、みんながビリーに花を渡すのが微笑ましい。女子の団結も感じる。

全ての曲で前奏が始まった瞬間に、みんなこの曲こそを待っていた、というような大歓声がある。なので全曲がハイライトに思える。セットや演出に頼らなくてもファンの心を動かし続ける。これまで少しでもビリーのライブ映像を観たことがある人なら分かると思うけど、始まった瞬間から終わりまで、ファンが大合唱で、ジャンプしまくるので、ビリーの声はむしろ聴こえないくらいなのだ。ファンとの結びつきが強烈で、今回、期せずしてアルバムがもう1枚できたことと、ファンがそれを聴く期間と待つ時間が長かったので、より盛り上がるのだ。


2)マディソン・スクエア・ガーデン

どの公演も特別だが、やはりマディソン・スクエア・ガーデンはアメリカにおいては成功の象徴だ。本来だったらそれが2年前に叶うはずだったのに、2年待って叶ったので、ビリーの感動もひとしお。初日に「これは自分の夢だったんだよ!」と語っていた。

ツアーが延期になって良かったことのひとつは、前回キャンセルになったツアーではマディソン・スクエアのライブが1日だけだったのだが、なんと2日になったこと!

その両日とも行ったが、これまで何度もビリーのライブを観ているけど、ビリーはそれぞれの日の内容を大きく変えることはないので、基本的にはどの日も同じだ。だけど、2日目になんとビリーが泣いちゃったのだ。

これは、ニューオーリンズで観た時から私も泣きそうになった場面だが、”Getting Older”の時に、ビリーの子供の時の映像がスクリーンに映し出される。それを見ていると胸が熱くなるんだけど、そこでビリーが泣いちゃったのだ。

以下ファン撮影の映像。
https://youtu.be/VfZckgzTJQo

続けて歌った”Lost Cause"でも涙声になっていたけど、その曲が終わって、いつものようにふざけた感じで説明していた。「今泣いたところ見られちゃった(笑)。めちゃ恥ずかしい。私が赤ちゃんの時の映像を見て、マディソン・スクエア・ガーデンの光景を見たら、グッときちゃった。でももう絶対泣かないから!」と。

圧巻なのは、最後の”Happier Than Ever”で、そのカタルシスと言ったらない。でも、それが終わると、ステージのスロープを3人で滑り落ちてギャグのオチのように笑って終わるのがまたさすが。なんというか、現状がシリアスだからこそシリアスなままで終わらないようにしているのだ。

改めて、ポップスター以上の宿命を抱えて生まれてきたような、しかもそれを背負い、引き受けていて、新時代を牽引するリーダーのような彼女の姿にとにかく感銘した。やはり10年に1度の存在だと確信した。

ビリーは現在全米ツアー中だが、最近エディ・スリマンが撮影でVマガジンの表紙。

また、なんとピクサー・アニメの”Turning Red”の曲を書いている。レッドカーペットにも登場していた。

3月27日は、アカデミー賞

4月3日は、グラミー賞

4月16, 23日は、コーチェラのヘッドライナー。

6月24日は、グラストンベリーのヘッドライナー。

2年間待っていたと言えば、日本のファンだって来日公演が延期、キャンセルになって同じように待っている。ビリーの世界ツアーのスケジュールを見ると、9月30日のオーストラリアまで決まっている。なんとかその後、日本に来て欲しい(祈)!!!!
https://www.billieeilish.com/tour



ビリー・アイリッシュの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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