テイラー・スウィフトがTIME誌恒例の2023年「今年の顔」に選ばれる。100年近い歴史でミュージシャンとして選ばれるのは史上初! さらに女性としては史上初の2回目。テイラーの2023年の実績まとめ&2024年は来日公演から始まる素晴らしさ!

テイラー・スウィフトがTIME誌恒例の2023年「今年の顔」に選ばれる。100年近い歴史でミュージシャンとして選ばれるのは史上初!  さらに女性としては史上初の2回目。テイラーの2023年の実績まとめ&2024年は来日公演から始まる素晴らしさ!

もうご存知の方も多いと思うけど、テイラー・スウィフトがTIME誌が選ぶ2023年「今年の顔」(Person of the Year)に選ばれた。

今年の候補者はその他に、

『バービー』
ハリウッドでストライキをした俳優協会、脚本家協会員
習近平
サム・アルトマン
トランプを起訴する検察官
プーチン大統領
チャールズ3世
ジェローム・パウエルFRB議長

が挙がっていた。

1)テイラーが今回快挙なのは、ミュージシャンが音楽の功績で「今年の顔」に選ばれたのは、1927年に始まる100年近い歴史で、これが初めてであること。

これまでは、U2のボノが2005年に表紙を飾っているけど、ビル&メリンダ・ゲイツとともに”The Good Samaritans”として、世界から貧困、病気、無関心をなくすために貢献している人として選ばれた。つまりミュージシャンとしてバンドの功績が讃えられたわけではない。
テイラー・スウィフトがTIME誌恒例の2023年「今年の顔」に選ばれる。100年近い歴史でミュージシャンとして選ばれるのは史上初!  さらに女性としては史上初の2回目。テイラーの2023年の実績まとめ&2024年は来日公演から始まる素晴らしさ!

2)さらにテイラーは、2度選ばれた初めての女性となる。

前回は、2017年に”The Silence Breakers”(沈黙を破り声を上げた人達)の1人として、#metooムーブメントの最中に、彼女がラジオ局で受けた性的暴行を訴え勝訴したため、その他の女性たちと表紙を飾った。

3)選ばれた理由について。
TIME誌の編集長が発表直後に米ニュース番組に出演し、この決定について語っていた。その他の候補には、アメリカのみならず世界の人々の命に関わるような重要な決断を下す人物もいるが、その人たちから選ばなくて良かったのか?とまず訊かれて、

こう答えていた。

「2023年は、その他の年と同様に、多くの光と闇があった。その中で今年は、世界に光と喜びをもたらした人を選ぶことにした。テイラー・スウィフトは、彼女の物語を語り、それによって世界中の何百万人という人達が、自分たちの物語や、声を見つけることができた。パンデミックの後、彼女のコンサートに、映画に、世界中の人達が結集したばかりか、そこに喜びをもたらしてくれた。それ以上に偉大な影響力ってあるのだろうか?と考えての結果となった」


4)テイラーの今年の実績。テイラー・スウィフトは今年いくつもの「史上初」という記録を残している。多すぎて忘れているのもあると思うけど、思い出せるだけ書き記しておく。

a. The Eras ツアーが、史上最高の興行成績を記録。しかも、10億ドルを突破する史上初のツアーに。グッズ売り上げはそれとは別に2億ドル。

Pollstarの発表によると、テイラー・スウィフトの”The Eras”ツアーは、60公演で、435万枚のチケットを売り上げ、10億400万ドル(約1460億円)の興行成績を記録した。これは、エルトン・ジョンがこれまで持っていた9億3910万ドルで1位だった興行成績を抜いての新記録。その後には、エド・シーラン、U2などが続き、ビヨンセのルネッサンス』ツアーも歴代8位に入っている。

このチケットの売り上げの他に、グッズの売り上げは2億ドルだということ。来年もツアーが続くので、この記録はさらに更新されることになる。

b. Spotifyのストリーム数が世界一
Spotifyが発表した毎年恒例の#Wrapped によるとテイラー・スウィフトが3年連続で1位だったバッド・バニーを抜いて、今年世界で最もストリームされたアーティストとなった。ストリーム数は、261億回。過去10年間に1位だったアーティストの記録を見るとこの数字がハンパでないことも分かる。

2014年 エド・シーラン 8億6000万回
2015年 ドレイク 18億
2016年 ドレイク 47億
2017年 エド・シーラン 63億
2018年ドレイク 83億
2019年 ポスト・マローン 65億
2020年 バッド・バニー 83億
2021年 バッド・バニー 91億
2022年 バッド・バニー 185億
2023年テイラー・スウィフト261億
テイラー・スウィフトがTIME誌恒例の2023年「今年の顔」に選ばれる。100年近い歴史でミュージシャンとして選ばれるのは史上初!  さらに女性としては史上初の2回目。テイラーの2023年の実績まとめ&2024年は来日公演から始まる素晴らしさ!

c. “The Eras Tour"の映画が、コンサート映画として史上最高の興行成績を記録。映画公開方法も画期的で「映画の未来」と称賛。

テイラー・スウィフトの”The Eras Tour"コンサート映画が、公開された週末9280万ドルの興行成績を記録。これまでコンサート映画として歴代1位だったジャスティン・ビーバーの”Justin Bieber: Never Say Never”の2951万ドルを抜いて1位となった。また映画は現在も公開中だが、公開週のみならず、合計としてもすでにジャスティンの7億3000万ドルを抜いて北米だけで17億8900万ドルを記録し、歴代1位となっている。

さらに今回の上映は、通常のハリウッドスタジオを通さずに、劇場チェーン店であるAMCと直接契約をしたことも画期的だった。

かのクリストファー・ノーラン監督ですら、テイラーの決断を、「彼女のやり方こそ、映画の未来である」と称賛したくらいなのだ。

「これによってAMCは莫大なる利益を得ることになる」。だから、この成功は劇場公開の大事さを再び強調してくれたと。「これこそが物語の語り方であり、物語の共有方法であり、経験を共有する方法であり、莫大な価値のあることなんだ。だから(スタジオが)劇場で公開したくないなら、他の方法で公開できるということ。今回それが証明された」と。ノーランは、劇場公開に拘り、ハリウッドの大手スタジオとストリームに対して戦ってきた監督だ。

今回の上映で何が素晴らしかったかというと、ビヨンセも同様の手段で公開したこと。それで両者のプレミアで、今年の最大の成功をしたと言える2人が、2ショットを披露した。通常トップを走る2人は戦い合って当たり前。この2人がお互いのためにプレミアに出席したことは、驚愕にして、歴史に残る瞬間だったと思う。

d. アルバム5枚が同時にトップ10に入った、生存する史上初のアーティストに。
テイラー・スウィフトのアルバムが今年、5枚同時に米チャートトップ10に入った。これまでそれを達成したのは、プリンスが亡くなった時のみ。つまり、生存するアーティストとして、それを達成した唯一のアーティストとなった。12月4日に発表されたビルボードチャートでその偉業を達成。結果は以下の通り。

1位 ”1989”TV
3位 ”Midnights”
5位 ”Folklore”
6位 ”Lover”
10位” Speak Now”TV

e. “Cruel Summer”が発売から4年1ヶ月3週間で初の1位獲得。
ツアーと映画の公開で、テイラーの曲の多くがチャート入りしていたが、この曲はコンサートでも始めの方に演奏されること、また映画からのライブ版も発表されたことにより4年以上空いての1位獲得となった。

f. “Speak Now (Taylor’s Version)”が1位獲得で、12枚目の米チャート1位獲得。史上最高に1位を獲得した女性アーティストに。

g. “1989 (Taylor’s Version)”の初週売り上げが、165万3千枚。彼女が9年前に発売したオリジナルのアルバムの初週128万7千枚を抜いて、なんとキャリアで最高を記録。

h. “1989 (TV)”のアナログ売り上げが、69万3千枚で、1991年の調査開始以来、史上最高を記録。これは、彼女自身が、”Midnights"で持っていた記録57万5千枚を抜いてのもの。

j. 6枚のアルバムがアメリカで発売週に100万枚を超えた史上初のアーティスト。

k.テイラーの再レコーディングアルバム「テイラーズ・バージョン」が、オリジナルより売れてしまうため、レコード会社は、これから契約するアーティストの再レコーディングを禁止。
https://www.billboard.com/pro/taylor-swift-re-recordings-labels-change-contracts/

テイラーは、アルバムの著作権を自分が好きではない会社に売られてしまったため、デビュー作から6枚目の『Reputation』までを再レコーディングすると決意。現時点では、4枚の「テイラーズ・バージョン」が発表されているが、ビルボード誌の発表によると、「テイラーズ・バージョン」が発売されると、オリジナルはすぐにチャートの200位圏外に落ちて2度と浮上しないと。そのため、彼女のマスターテープを買った会社は、3億ドル払っているが、回収できない可能性が大なのだそう。

これを受けて、メジャーレーベルは、これから契約するアーティストと再レコーディングできないように契約書に条項を付け加えているということ。テイラーがビヨンセから、音楽業界の常識をいかにして破るのかを教わった、とコメントしていたけど。メジャーレーベルが契約書を書き足すこと自体、テイラーが常識を破っている証拠だ。

l. フォーブス誌が、テイラーの資産が、推計で10億ドル(約1500億円)を超え「ビリオネア」になったと発表。

しかも、収入源は主に彼女の曲とパフォーマンスによるもの。アーティストでビリオネアになる人の多くは、化粧品、香水、お酒、ファッションブランドなどその他の業種からの収入が莫大であることが多い。

フォーブス誌の最新の推計によると、彼女の現在の資産は、11億ドル。その内訳は、音楽カタログの価値だけで5億ドル。さらに著作権、ツアーからさらに5億ドルを稼ぎ、不動産の価値が、1億2500万ドル。莫大な利益は、彼女のツアーからもたらされていて、”The Eras”ツアーから、1億9000万ドル。映画から、3500万ドル。

m. ”The Eras”ツアーに関わったスタッフ全員にボーナス。計5500万ドル支払う。

例えば、ツアーのトラックを運転する人達全員に1人10万ドル(約1500万円)のボーナスを払ったそう。

n. フォーブス誌が、「世界で最もパワフルな女性」の5位に選ぶ。エンターテイメント業界では1位
1. EU委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン
2. 欧州中央銀行(ECB)総裁 クリスティーヌ・ラガルド
3. 米副大統領カマラ・ハリス
4. 伊首相ジョルジャ・メローニ
5. テイラー・スウィフト

フォーブス誌は、テイラーの”The Eras”ツアーが、アメリカで50億ドルの経済効果をもたらしたと推定。
世界におけるリーダーシップの危機を救うのは女性たちなのでは?という内容の記事でもある。

o. NFLの視聴率すら上げる。
テイラーが、スーパーボウルで2度優勝しているNFLカンザス・シティ・チーフスのトラビス・ケルシーと付き合っているという噂が浮上したばかりか、彼女がスタジアムに応援に現れたことで、スウィフティが一気にNFL観戦。NFLというもともとアメリカで最も人気があるスポーツ中継の視聴率さえテイラーが上げてしまったのだ。

NBCの発表によると、10代の女子の視聴者数がこれまで平均の53%上昇したということ。また、テイラーが観戦した試合のひとつが、これまでTV史上最高の視聴率を獲得したスーパーボウル57に次ぐ、日曜日としては2位の視聴率となったそう。
https://www.usatoday.com/story/sports/nfl/2023/10/03/chiefs-jets-taylor-swift-sunday-night-football-ratings/71044088007/

NFLも、ここに来てまさかスウィフティーズが関心を持ってくれるという棚ぼたで大喜び。テイラーが初めて観戦した直後などは、ソーシャルのアカウントが「NFL(テイラーズ・バージョン)」となっていたりした(笑)。個人的にも生まれて初めてアメフトの試合を見ている(笑)。

ちなみに、この世界一のポップスターとアメリカの国民的スポーツのスター選手が付き合っているという事実に、アメリカ中がお祭り騒ぎだ。古くは、マリリン・モンローとジョー・ディマジオの恋愛が引き合いに出されたりしている。

驚いたのは、ウォール・ストリート・ジャーナルまでが、「テイラー・スウィフトは、今年アメリカで起きた最高のこと」と書き、「彼女が行く場所全てに喜びと仕事と幸せをもたらす」とし、テイラーとトラビスが付き合っていることは、「おとぎ話に思え、この大変な世の中で、魔法がかかったような気分にさせてくれる」と称賛している。
https://www.wsj.com/articles/we-should-all-give-thanks-for-taylor-swift-time-person-of-the-year-48d3b85a

テイラーの今年の実績は、この他にもあると思うのだけど、現時点でこれ以上思い出せないので。ここまで。


5)そしてこんな最高の年の直後、2024年の幕開けが来日公演からという嬉しさ!

テイラーの2024年ツアー幕開けが日本からで、なんと嬉しいことか。
こんな最高の年を締めくくった彼女の来年の第一歩を世界中が注目している。

TIME誌の記事の中に、引用したいようなことは大量にあるのだけど、その中からひとつだけ。彼女のツアーを観ていて本当に感動することのひとつは、まず彼女が3時間以上あるライブで当たり前のようにこなしているそのスタミナだ。

さらに、アルバムごとに全く違う世界観でパフォーマンスしていくし、セットもダンスも劇的に変化しているのに、その流れがあまりにスムーズであること。少しでも間違えたら絶対に大事故に繋がると思う。

それで今回の記事を読んで、彼女がそういうライブになるように、半年前から鍛えに鍛えていたことが、判明して読んでいて涙目になった。

この3時間以上、40曲以上、16回の衣装替えがあるライブに備え6ヶ月前からトレーニングしたことについて、こう語っていた。

「毎日、セットリストの曲を全部大声で歌いながらルームランナーで走った。テンポが速い曲は、走るペースも速くして、遅い曲では、ジョギングが早歩きにして」
「それからダンストレーニングは3ヶ月した。体で覚えておきたかったから。過剰にリハーサルして、(何も考えないでも動けるようになれば)ファンの前でジョークを言ったりしても、自分が何を言おうとしていたのか分からなくなるってこともなくなるから」。
さらに、
「ダンスは私が得意とする部分ではないし」と。

今回の振付は、友人のエマ・ストーンの紹介による、『ラ・ラ ・ランド』の振付師によるもの。実際、彼女のダンスは、今のポップシーンの中で、最高とは言えないのだけど、このコンサートの中では、彼女が得意でないことが全く気にならない、どころか非常に効果的な振付がされている、素晴らしい結果になっている。また、ツアー中はお酒を飲むのも止めているそうだ。

テイラーは今回のツアーでは、最高で3日連続でライブを行なっていて本当に信じられないけど、翌日は、さすがにベッドから出られないそうだ。

「ベッドから、食事を取りに行ってベッドに持って行って食べる以外は出ない」
「それに3日連続で歌っているから声はほとんど出ないので、話せないし。それから歩くと、ヒールでダンスしているから、足がカク、カク、カクと鳴る。でも、自分は病気でも、怪我していても、傷心でも、気分がノらなくても、ストレスがあっても、ステージに立つのは当たり前だと思っているから。それは今の私の人間としてのアイデンティティの一部だから。誰かが私のチケットを買ってくれたら、何か自分たちの力には及ばない非常事態が起きない限り、ライブは行うもの」

さらにチケットを取るのが大変であることも分かっているので、「みんながチケットを取るのに大変な思いをしているので、みんなが思っていた以上に長いライブをしたいと思っている。スタジアムを去る時にその方が自分が気分が良いから」と。これって完全にブルース・スプリングスティーン的なメンタリティだ。

来日公演は、2月7日から。
その直前に、グラミー賞の発表が2月4日に行われる。テイラーは、6部門でノミネートされている。果たして主要部門で受賞しての来日公演となるのか?

またあまりの気の早さに笑うのだけど、もし彼氏のチームがスーパーボウルに出場となったら、日本公演の直後の2月11日ラスベガスで開催となる。すでにアメリカ中で、日本から何時に出れば、ラスベガスのスーパーボウルに間に合うのかなど計算していたりする。ドリュー・バリモアの計算だとコンサートの翌朝出ても間に合うそう(笑)。

そんな大注目にして、テイラーの努力の結晶。日本の皆さん、思う存分楽しんでください!



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テイラー・スウィフトがTIME誌恒例の2023年「今年の顔」に選ばれる。100年近い歴史でミュージシャンとして選ばれるのは史上初!  さらに女性としては史上初の2回目。テイラーの2023年の実績まとめ&2024年は来日公演から始まる素晴らしさ!
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