ライブは３曲目あたりで、すでにアンコールかという勢いの盛り上がり方。このまま最後まで持つんだろうか、と思ってしまうのだが、全曲、前の曲を追い抜くハイライトの連続。それで、時間オーバーで乗り切ってしまうところが普通じゃない。だから花火も最後にドカンじゃなくて、途中でも上がりまくる。観客いじりも相変わらずだし、女装したトレを「Gaga！」と呼んで観客を喜ばせる。かと思えば、アンコールでは”アメリカン・イディオット”で盛り上げた後、「ここで終わりじゃねーぞ！」と、必殺のアコギで”ウェイク・ミー・アップ・オウェン・セプテンバー・エンズ”、さらに”タイム・オブ・マイ・ライフ”へと反則技。

しかしこのパターンは、ライブ全体に言えることだけど、すでに何度も観てきたやり方だ。今回フェスということもあり、最新作発売時のツアーと内容的には大きく変わることがなかった。が、Green
Dayが作り上げてしまったAC/DC並のお決まりで、いちいち盛り上がるのだ。しかも、それなのに本当にこの日のためだけに、俺たちここまでやってきたんだ、というような、この瞬間、この日こそが最高なんだ、と思わせてくれるリアルさがある。セックス、ドラッグギャグあり、そしてロックンロール。ハイライトの連続という意味では、ブルース・スプリングスティーン並とすら言えるこのライブの形がいかに極限をきわめているのか、ということを改めて思い知らされた。

ひとつ面白かったのは、シカゴの観客を盛り上げるのに、「お前らニューヨークの客よりすげー！」と何度もニューヨークを引き合いに出していたこと。なるほどシカゴを褒めるにはニューヨークを出せばいいのか、と。と言いつつ、いつものようにステージに観客を上げて歌わせ、「今回のツアーの中で最高の瞬間だった！」と言った後に、「まだ３回しかやってないけどな」と、客をおだてないでオチに使うところも相変わらずで、兄貴でもあり続けるところがさすがだった。

ちなみに、実はこの日、前の日Lady
Gagaのライブ撮影で大混乱したようで、到着してみたら、セキュリティから先着40人のカメラマンしか入れないと通達（汗）。なんとぎりぎり３７番目だった……。