リリースまで6日、7曲目は“本当“です。
■バンドが続いていくかもわかんない状況だったし、曲に託しました。《当たり前が続いていきますように》って(尾崎世界観)
クリープハイプのこういう曲に弱い。小さな棘がたくさん生えた、心の壁をひっかくようにして入ってくる曲もいいけど、こういう、水が沁み込むようにすっと入ってくる曲に弱い。
ホームである下北沢デイジーバーでのライヴのあと、朝まで打ち上げをやって、酔っ払いながら帰って、そのまま歌詞を書き始めて、それでできたのがこの曲だというエピソードを、尾崎はインタヴューで話してくれた。酒飲んだら普通は曲も作れないし歌詞も書けないのに、そのときだけはなぜかできたらしい。
なぜできたのかはわからないし、神様か妖精あたりのおかげだと思うしかないけれど、そうやってできた曲だからこうなったのだということは間違いなくいえる。「こうなった」というのは、いつになく素朴で、正直で、本音そのまま、という歌詞だ。ここで歌詞全文引用したいくらいなのだが、それはアルバムがリリースされたら手にとって確かめてほしい。
といいながらどうしてもこの一節だけは引用したい。
《正直に言えば「正直に言えない」
捻くれた気持ちでずっと待ってる
これからもずっと》
これ、尾崎世界観だよね、絶対。
「正直に言えない」ということ、つまり「自分は捻くれているんだ」ということを正直に言う……ややこしいな、でもこれはそういう歌だ。文字通り、尾崎世界観の「本当」だ。彼が何を求めているのか、曲の書き手と聴き手のあいだで、どんな関係が生まれてほしいのか。彼にとってクリープハイプとは何なのか、バンドとは何なのか、音楽とは何なのか。それはすべて、この曲に詰まっている。
明日は8曲目、カオナシ作の”のっぺらぼう”について書きます。