クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その8:のっぺらぼう

クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その8:のっぺらぼう
12月3日、クリープハイプのニューアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』発売。リリースまで、このブログで毎日1曲ずつ、レビューをしていきます。

リリースまで5日、8曲目は“のっぺらぼう”です。


■カオナシを言い換えて“のっぺらぼう”。カオナシが主人公だとは思ってほしくないですけど(長谷川カオナシ)

『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』の“火まつり”もそうだし、『吹き零れるほどのI、哀、愛』の“かえるの唄”もそうだったが、クリープハイプのアルバムにおける長谷川カオナシの曲というのは、ある種の「異物」としてそこにあった気がする。

ライヴにおいてもアクセントとなっているこれらの楽曲がもつ独特の「味」、それは歌詞にしてもメロディにしてもそうだが、尾崎世界観とは異なる「味」が足されることは、クリープハイプを立体的に、多面的に見せるという点でとても大事だった。カオナシの曲があることで尾崎の曲が相対化され、お互いのおもしろさを強調し合う。つまりふたりの「違い」を生み出すことに、カオナシ曲の存在意義はあった。

だがこの“のっぺらぼう”はそうではない。「違い」ではなく「重なり合う部分」を明らかにしているような感じがする。ひとり語りの日常的な風景。空想やファンタジーに拠らない、普遍的でシンプルな実感とそこにあるせつなさ。“のっぺらぼう”を聴いて感じるのはそういう「味」だ。ノスタルジックな感じはものすごくカオナシらしいが、簡単にいうとクリープハイプっぽいのだ。

インタヴューで本人も語っていたが、この曲は弾き語り用に書いたものだそうだ。要するに、バンドにおいてどう機能するかをまったく想定せずに書かれた曲なのだ。カオナシがカオナシのために書いた曲といってもいい。“のっぺらぼう”、すなわち「カオナシ」そのものを意味するようなタイトルがつけられたことも、それを象徴している。

そういう曲がクリープハイプの楽曲としてしっかり位置付けられ、しかも「クリープハイプらしい」曲として鳴っているということが、とても大きな意味をもっている気がする。

そして、相変わらずカオナシの声はすばらしい。
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