my letter『my letter』:今年のクリスマスのサウンドトラックはこれだった

my letter『my letter』:今年のクリスマスのサウンドトラックはこれだった

いや、クリスマス特に関係ないんだけどね。
その「クリスマス特に関係ない」感じが沁みるわけで、なんだか無性に聴きたくなって、昨日から13回くらいリピート中。

京都の4人組my letter。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド譲りの低体温感の中で、とろ火でぐつぐつと煮こまれたような感情がドロドロと渦を巻いている。真空保温調理器ってあるじゃないですか。火を使わずに材料を加熱する鍋。カレーとか作るとき重宝するあれ。ああいう感じ。いつの間にか当たり前に煮詰まっていく何か。まるで圧力鍋みたいな音楽が多い中で、まあそれもそれでいいんだけど、奥の奥までじーっくり火が通った旨さがこんなにもいいものだったのかと、明石家サンタを横目で見ながら思ったりもしたわけである。

現在発売中のJAPAN、ジャパネク通信で僕はこのバンドについて「つまりパンク」と書いた。「オルタナティヴであることを肌感覚で選び取り、その存在自体がシーンに対するアンチテーゼとなるバンド」とも書いた。衝動を高圧でバシューンって吹き出させるのがロックの攻撃性だと思いがちだけど、このすべてが衝動的で刹那的で即物的な時代、何もかもが高圧の時代、その逆のありようを提示するほうがよっぽど攻撃的で鋭い。

my letterの音楽はとても耳触りがよくて、つい聴き流してしまうのだが、歌詞に耳をこらせばこらすほど、こいつやばいな、と思う。その「こいつやばいな」を何度も感じたくて、今も延々リピートしている。“グッデイ”のギターリフとか、あぶないあぶない。

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