東京カランコロン『UTUTU』、1月14日リリース!
発売日まで1日1曲ずつ、全曲をレビューしていきます。
あと7日!
7. ネオンサインは独りきり
待ってました。この曲最高です。
インタヴューでもリード曲とかそっちのけでいきなりこの曲について訊いたら「いきなりそこですか」と本人に突っ込まれた、それぐらい好きですこの曲。
『We are 東京カランコロン』だったら“渚のセレナーデ”、『5人のエンターテイメント』だったらボーナストラックとして収録されているあのラップの曲。僕はそういう、本気で遊んでいるカランコロンが大好物なのだが、これはまさにその系譜の曲。でも今挙げた2曲と明らかに違うのは、この“ネオンサインは独りきり”が少しも「ネタですよ」という顔をしていないというところだ。歌謡曲調の“渚のセレナーデ”には曲に入る前にフリとしてのナレーションがあったし、ラップのこの曲はその置き位置からして「お遊びですから」とアピールしていたが、この曲は平然とアルバムの真ん中に収まっている。
こればっかりは聴いてもらわないと面白さが伝わらないと思うので、試聴なり何なりしてもらって各自膝を打ってもらいたいのだが、簡単に説明すると90年代にSMAPが歌っていたかもしれないような曲です。いや、でもこのキーボードのアタックは80年代のディスコポップか。まあどっちでもいいか。メンバーは楽器を一切持たず、歌とダンスで参加。Bメロがおっさん組ふたりによるユニゾンになっている感じとか、思わずニヤニヤしてしまうのだが、ふと気づくのである。「この曲、いい曲じゃね?」。
そう、いい曲なのだ。「ネタとして」よくできているということではなく、メロディや曲の構成の完成度がじつは相当高い。たぶん弾き語りでも歌えるような曲になっているのだ。この振り切りぶり、そしてこのクオリティ、それが当たり前にそこにあるということ。このアルバムで東京カランコロンが手に入れた自由さと強さを、ある意味で象徴するキラーチューンだ。
明日は8曲目“左耳から白旗”について書きます。