The fin.『Glowing Red On The Shore EP』の気持ちよさは何なのか

The fin.『Glowing Red On The Shore EP』の気持ちよさは何なのか

完全に時代の気分の音。というか、時代をするっと変える音。
本人たちにはたぶんそんなつもりはないだろうけど、
時代が変わるときというのはそういうもんです。

洋楽っぽいとか、洋楽的な文脈において非常にリアルとか、そういうのは本当にどうでもよくて、このバンドがじゃあ本場でウケるのかウケないのかとかもそんなに重要ではない。
ただ、2014年の日本でこの音が生まれて鳴らされているという事実それ自体が、何かの始まりを物語っている。

The fin.のロックには、洋楽的なるものに対するスノビズムも憧れもない。J-ROCKに対するアンチテーゼもない。ポップミュージックへの愛情はあるが、同時に諦念もある。ロンドンで撮ってきたビデオとか見ていると「好きなんだろうなあ」とは思うけど、たぶんそこが下北沢でも彼らは同じようにビデオを撮るだろう。




要するに、何かになりたいとか、何かを変えたいとか、何かに対する反抗とか、そういう動機ではないのである。ただ、この空気感、今自分が吸って吐いている空気の色と匂いと重さと味を、平熱で音にしたらこうなったのである。それが結果的に海外のインディ・ロックとの同時代性を生んだとすれば、やはり、時代が変わったとしか言いようがないし、それなら日本で受け入れられないはずがない。さらにThe
fin.がすばらしいのは、その空気を肯定的にとらえているところだ。

6曲入りEP『Glowing Red On The Shore EP』、3月に全国流通盤として再リリースされる。
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