レッド・ツェッペリン、約40年ぶりに全米チャート返り咲き!その理由を徹底分析

  • レッド・ツェッペリン、約40年ぶりに全米チャート返り咲き!その理由を徹底分析 - 1979年作『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』

    1979年作『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』

  • レッド・ツェッペリン、約40年ぶりに全米チャート返り咲き!その理由を徹底分析 - (c)Atlantic Records

    (c)Atlantic Records

  • レッド・ツェッペリン、約40年ぶりに全米チャート返り咲き!その理由を徹底分析 - 1979年作『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』
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7月31日についにリマスタリング再発シリーズのうちの最後の3枚となる『プレゼンス』、『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』、そして『コーダ(最終楽章)』がリリースされたレッド・ツェッペリンだが、リリースからおよそ40年経ってアメリカのビルボード・チャートで再びのトップ10入りを果たしている。

今回上位に返り咲いたのは『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』で、8月22日付のビルボードのアルバム・チャートで9位につけ、トップ10圏内としてはおそらく34年ぶりのチャート・インを果たしている。続いたのは『コーダ(最終楽章)』で12位、『プレゼンス』は13位につけている。いずれも前週はチャート外だった。

それにしても、『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』が一番高いポジションにつけたことに意外さを感じる人も多いかもしれないが、同作は実はアメリカでは『レッド・ツェッペリンⅡ』と並ぶチャート記録を誇る人気アルバムなのだ。実際、通算チャート在位期間に関していえば『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』は『レッド・ツェッペリンⅡ』とのタイ記録を誇ってツェッペリンの全作品中1位となっており、リリース当初も発売後およそ一か月半で全米セールス300万枚を突破、通算では600万枚の売上を誇る作品となっている。

ちなみに『レッド・ツェッペリンⅡ』のアメリカでのセールスは通算1,200万枚を記録していて、さすがにセールス面では『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』を大きく引き離している。しかし、ハードさという意味では最もツェッペリンらしからぬ『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』がなぜこれほどまでに人気が高いのか。おそらくこのアルバムがリリースされた1979年当時の時点でツェッペリンを待望する期待感がこれまでになく高まっていたからではないか。ツェッペリンのツアーは77年のアメリカ・ツアーが最後となっていて、しかも、ライヴ盤『永遠の詩』と映画『狂熱のライヴ』が同時に76年にリリースされている。こうした背景から、79年にもなるとツェッペリンへの飢餓感が相当に大きくなっていたと同時にバンドの存在もこれまでになく神格化されていて、作品がリリースされること自体が一つの事件と見做されるまでになってしまったのだ。少なくともぼくはそんな気持ちでこのアルバムを迎えたのを記憶しているし、そんな思い出も伴うこのアルバムに今回ジミー・ペイジがリマスタリングをほどこしたと知って、あらためてこのアルバムを聴き直してみたいという気分になった人がそれだけ多かったということなのではないか。

では、今回13位の『プレゼンス』はどうなのかというと、リリース直後は1位に輝いたが、その後のセールスは100万枚を突破してからあまり動きがなくなり、通算300万枚とツェッペリンの作品の中でもあまり奮わない作品のひとつとなっている。日本ではリリース当初から最高傑作と評価も高かったように記憶しているが、実はアメリカではそうでもなくて、むしろ近年になって再評価された感が強い作品なのだ。もちろん今ではこの作品こそツェッペリンの神髄だと絶賛する人が国を問わず多いわけだが、そうした事情でアメリカでは当初評価が芳しくなかったことと、ライヴ盤『永遠の詩』が同じ76年にリリースされ、ライヴ盤としての評価はさんざんだったもののリリース時すぐに200万枚を突破するなどアメリカのファンの間では圧倒的な人気を誇ったため、結局、このアルバムに『プレゼンス』の勢いが食われてしまったということなのかもしれない。

そして、12位の『コーダ(最終楽章)』は1982年のリリース当時は最高位6位、通算セールスは100万枚となっているが、今回チャート・ポジションが『プレゼンス』を上回ったのは、ほかの作品ではすべて1枚のコンパニオン・ディスクが本作では93年のリマスタリング時のボーナス・トラックも収録して2枚組と聴き応えのある内容になったからだろう。もっとも今回のコンパニオン・ディスクで最も注目されるべきなのは『プレゼンス』のコンパニオン・ディスクに収録され、失われた名曲といってもいいインストゥルメンタル・バラード、"10 リブズ&オール/キャロット・ポッド・ポッド(ポッド)"だという意見もきっとあるだろうが。

なお、今回のリマスタリング再発のこれまでのリリースでは『レッド・ツェッペリンⅠ』は7位(初リリース時最高位は10位)、『レッド・ツェッペリンⅡ』が9位(1位)、『レッド・ツェッペリンⅢ』が10位(1位)、レッド・ツェッペリンⅣ』が7位(2位)、『聖なる館』が12位(1位)、『フィジカル・グラフィティ』が11位(1位)につけてきた。

また、ビルボード誌によると、2014年だけでツェッペリンのアルバム・セールスは94万6千枚を記録したというが、リマスタリング再発のなかった13年のセールスも59万9千枚はあったそうだ。(高見展)
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