【祝20周年】ASIAN KUNG-FU GENERATION、全ALレヴュー大公開! 本日は『Wonder Future』

今年、めでたく結成20周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATION。RO69ではそれを記念して、『崩壊アンプリファー』から『Wonder Future』まで全オリジナルアルバムを振り返るレヴュー特集を行います。毎日アップしていきます。本日の作品は2015年発表『Wonder Future』です!

【祝20周年】ASIAN KUNG-FU GENERATION、全ALレヴュー大公開! 本日は『Wonder Future』

“Easter / 復活祭”“Little Lennon / 小さなレノン”などに象徴される通り、フー・ファイターズのプライベートスタジオでのレコーディングを通して、それこそデイヴ・グロールのハイエナジーな爆発力が憑依したかのような『Wonder Future』のドライヴ感に、『君繋ファイブエム』期の衝動感とはまったく別種のタフネスを感じて胸躍らせたのは僕だけではないはずだ。『君繋〜』がアジカン内のオルタナ/グランジ極限炸裂アルバムだとすれば、『Wonder Future』は問答無用のロックンロールアルバムだ。

同作を携えてのホールツアーはご存知の通り、真っ白なモノリスをいくつも組み合わせたような舞台セットに、メンバー4人とサポートのシモリョーがそれぞれセパレートされた形でスタンバイし、セットに投影されるプロジェクションマッピングが楽曲とともに色とりどりの世界観を描き出していく――という、アジカン史上最高にコンセプチュアルなものだった(『ワールド ワールド ワールド』ホールツアーの『サーフ ブンガク カマクラ』パートで登場した江ノ電セットもある意味コンセプチュアルだが)。そんな制約の多いステージでしかし、ゴッチはじめメンバーは至って伸びやかにロックンロールを鳴らしていたし、演出含め精緻に作り込まれたライヴを、僕は自分でも驚くほどストレートに「アジカンの自然体」として受け止めていたのが印象的だった。

よほどの強靭なファイターでもなければ怒りや反骨心は年月が経てば摩耗するし、それを原動力とするロックは遅かれ早かれシフトチェンジを余儀なくされる。一方、ゴッチは『君繋〜』の項でも書いた通り、衝動や闘争心すら「ロックを前進させる」という意志の力で統率してきた人だ。そして、「野性より意志でロックンロールを鳴らすバンド」としてのアジカンの在り方を、『Wonder Future』のツアーはくっきりと浮き彫りにしていた。

そんなゴッチの「前進する意志」の強さゆえに、アジカンはメンバー個々の意識の差によるパワーバランスの危うさをも孕み続けてきたし、僕個人的にもメンバーに取材するたびにバンドのモードの推移を感じてきた。が、そんな緊迫した時期があったことなど嘘のように、「もう20年も、この人たちと一緒にああだこうだやってきてるんですけど。ネットで言われてるよりは仲良いですからね(笑)」と冗談めかしたMCで客席を沸かせるゴッチの姿を観て、「アジカンはこれからもずっと続いていくんだろう」と心の底から思えて、無性に嬉しかった。改めて、結成20周年おめでとう。どこまでも突き進んでほしいと思う。(高橋智樹)

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なお、2016年4月30日(土)発売の『ROCKIN'ON JAPAN」6月号には、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが表紙巻頭に登場。バンドの20年を全力で祝う大特集を展開しています!
詳細はこちら。
http://ro69.jp/product/magazine/detail/142123

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