追悼、BOOM BOOM SATELLITES・川島道行


バンドとしての活動終了発表からわずか4ヶ月。「川島道行はミュージシャンとしての役割を終えて家族と共に穏やかな毎日を過ごしています」という当時の中野雅之のコメントに触れた時点で、川島が闘い続けた脳腫瘍が深刻な状況であることを少なからず覚悟はしていたが、こうして実際に訃報を前にして、どうにも気持ちの整理がつきそうにない。
BOOM BOOM SATELLITES・川島道行、2016年10月9日逝去。まだ47歳の若さだった。ここに冥福を祈りたいと思う。

1997年の脳腫瘍発症以来、再発の可能性と背中合わせでの活動を余儀なくされた中でも、そこから立ち昇る死生観や哲学すらも自らの表現の軸として取り込んでみせながら、唯一無二の剛性とスリルに満ちた音楽世界を作り上げてきた川島。BOOM BOOM SATELLITESのハイブリッドな重轟音やテクノ/ハウスの冷徹なビート感が、一貫して僕らの頭も心も震わす強靭なロックンロールとして響いてきたのは取りも直さず、川島道行という表現者自身の高純度な、そして不屈の音楽探究心・闘争心ゆえだ。

「ようやく不自由な身体から解放されて、今頃は世界中を飛び回っているのではないかと想像しています。悲劇ではなく人生のゴールとハッピーエンドを手に入れた瞬間でした。今迄沢山のファンに愛され、歩んでこれた川島道行とBOOM BOOM SATELLITESは本当に幸せ者です」……長年の盟友の旅立ちに際しての中野の無垢な言葉が、ひたむきに駆け抜けたバンドの闘いの道程を何より雄弁に物語っている。

ラストシングルとなった“LAY YOUR HANDS ON ME”はもちろん、“KICK IT OUT”、“BROKEN MIRROR”、“BACK ON MY FEET”……その楽曲にこめられた冒険精神は時代を越えて響き続けていくことだろう。BOOM BOOM SATELLITESの音楽に永遠の生命を与えていくのは他でもない、その音楽を愛してやまない僕ら自身だ。(高橋智樹)