混迷の時期、しかし名曲も多し
「怒りを捨てた宮本は、狂った世界の奴隷になるのか? ポップで楽しい『エレファントカシマシ5』の謎」。
このアルバムのリリース当時の、『ROCKIN'ON JAPAN』の宮本のインタビューのタイトルである。なお、撮影は4人で荒川で行ったのだが、カメラマン平間至の「歌ってください」というむちゃな注文に宮本が怒り、靴を両手に平間に殴りかかり、平間はバシバシはたかれながらシャッターを押し続ける──という写真がそのまま誌面に掲載された。エレカシ史上最も極端な内容の傑作(でも売れなかった)『生活』のあとで、次はどうしたらいいのかが見えない、混乱の時期だったのだと思う。ちなみに当時、本誌も売れてなくて混乱してました。エレカシのその混乱は次作『奴隷天国』まで続き、『東京の空』で覚醒を迎える。ただし、今聴き直すと「“シャララ”や“ひまつぶし人生”などこの時期ならではの名曲も多い」「そういえばどの曲もやたら尺が長いのもこの時期の特徴だった」「ポップで楽しいか? このアルバム」という再発見もあります。(兵庫慎司)
収録曲:
1.過ぎゆく日々
2.シャララ
3.無事なる男
4.何も無き一夜
5.おれのともだち
6.夕立をまってた
7.ひまつぶし人生
8.お前の夢を見た(ふられた男)
9.通りを越え行く
10.曙光
※『ROCKIN'ON JAPAN』2016年1月号より転載
過去のレビューはエレファントカシマシのアーティストページをご確認下さい。
http://ro69.jp/artist/2218
次の更新は2017年3月11日(土)19:00です。(毎日7:00、19:00公開予定)