世界12都市を巡回した大回顧展「DAVID BOWIE is」が7月15日ブルックリンで幕を閉じ、悲しんでいるファンも多いと思うが、とんでもなく嬉しいニュースが届いた。
そこに展示されていた膨大なアーカイヴが、なんとAR(拡張現実)及びVR(仮想現実)によるフォーマットによって、デジタル・コンテンツとしてリリースされるのだ!!
3Dスキャンによって保存された衣装や貴重な展示品は、細部までじっくり見ることが可能となり、聴覚と視覚を通じて、ボウイの生み出した芸術作品や彼の生涯と再び、しかしながら新しい体験として、向き合うことができる。
こんな試みはもちろん世界で初めてだ。
デヴィッド・ボウイのアーティストとしての魅力はいくつもあるが、その最もすごいところは、次の世代に新しいインスピレーションを与え続ける、というところだと思う。
今回の企画によって、デヴィッド・ボウイの遺物が永遠に残ることはもちろん嬉しいが、それ以上に、
彼のアートの足跡から、また新しいアートの形が生まれるとは、なんと素晴らしいことだろう!
また、「デヴィッド・ボウイがここにいる」というのが、大回顧展「DAVID BOWIE is」の一貫したテーマなわけで、たとえばブルックリン展では、ボウイのシンボリックな姿やアイコンが、神出鬼没に街のあちこちに設置されていたそう。
自分のプライヴェートな場所で、このデジタル・コンテンツを観ることによって、そのテーマがどのように感じられるのかも楽しみだ。
ボウイの50年におよぶキャリアを衣装や写真、直筆の詩や絵画、スケッチなどで振り返った「DAVID BOWIE is」は、実現したこと、しなかったことも含め、彼のアイディアの宝庫でもあった。
ブルックリン展では、さらに初めて展示される品も100点ほどあったとのことだが、今回のリリースでは、それを体験できるのだろうか?
世界各地で回顧展に参加した200万以上の人は、このリリースの試みがどれほど画期的か解るだろうし、
参加していない人にとっては、デヴィッド・ボウイというアートそのものな存在を、多面的に解き明かすことができる刺激溢れる体験となるはずだ。
実際の展覧会閲覧と同様の体験が可能なこのデジタル・コンテンツは、9ヶ国語対応にて最初の発売は2018年秋を予定。
リリース元は、2017年、日本にボウイ展を招いた株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント。
作品は、スマートフォン及び大手メーカーVR/AR機器に対応。
制作はニューヨークを拠点とするプロダクション・スタジオPlanetaが、デヴィッド・ボウイ・アーカイヴとロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の協力の元に行う。
プロジェクトの利益の一部は、デヴィッド・ボウイ・アーカイヴによりV&A及びブルックリン美術館に寄付される。
プロジェクトの詳細はこちら↓
davidbowieisreal.com
https://www.davidbowie.com/blog/2018/7/16/david-bowie-is-virtual-press-release
http://www.sonymusic.co.jp/artist/DavidBowie/info/496999
日本展のサイトには、「DAVID BOWIE is forever and ever」=「デヴィッド・ボウイは終わりのない永遠である」と“ヒーローズ”の歌詞を引用して掲げられ、世界での巡回が続く間公開されていたが、それがまたひとつ現実となって嬉しい。
https://davidbowieis.jp/
そして、まさにこのニュースにぴったりの表紙巻頭特集を、ロッキング・オン8月1日発売(9月号)でお届けします!
デヴィッド・ボウイ「アートとロックの融合」総力特集
『ロウ』『ヒーローズ』『ロジャー』の全てを語った3万字、
そして、ジョイ・ディヴィジョン/NIN/ビョーク/ベック/レディオヘッド/ジェイムス・ブレイクへと続く「ボウイの遺伝子を継ぐ者たち全リスト」
鋭意制作中です。こちらもお楽しみに。(井上貴子)