「クリフは俺ら4人の中で一番気持ちの強い奴だった。俺らがこの先、1年中サンフランシスコでソファに座り込んだまま自分らを哀れんでるのを見たら、もうイライラするだろうよ。
あの世から戻ってきて俺らのケツ蹴飛ばして、『さっさとロードに戻れ、中断したとこからやり直せ!』って言うに決まってる」
メタリカにとっての最初の大きな転機は、1986年9月、これ以上ないほど最悪な形で訪れた。音楽的にも精神的にもバンドを支えていたベーシスト、クリフ・バートンの突然の他界である。しかしそれからほどなく、日本は彼らの新たな物語の始まりを目撃することになる。後任にジェイソン・ニューステッドを迎え、カリフォルニアで2回の試運転的ライブを経たのみで、11月の初来日公演が予定通り完遂されたのだ。
その日本滞在中、ジェイムズ・ヘットフィールドは「俺たちはクリフのためにここに来た」と発言している。それから既に35年が経過し、今年は彼らの代名詞的作品である『メタリカ(通称ブラック・アルバム)』が発売30周年を迎えている。
同作以降のメタリカは、まさしく怪物としての歩みを続けてきたが、彼らがそうした存在になり得たのは、常識や慣習に囚われることなく、やりたいことだけを徹底的に追求し、それを続けられる環境を自らの手で開拓してきたからに他ならない。悲劇からわずか4ヶ月後にあたる87年1月、彼らが欧州ツアー中に語った本音に、あなたはモンスターに流れる血の濃さと熱さを感じることだろう。 (増田勇一)
<総力特集 コンテンツ紹介>
★1988年、ガンズ・アンド・ローゼズが絶頂期に語った超貴重インタビュー
★天才ベーシスト、クリフ・バートンの死の直後である1987年、メタリカ再生のドラマが描かれたインタビュー
★80年代究極のハード/メタル名盤を軸に、当時のシーン全体を詳細につづった特別論考
ガンズ&メタリカなど80年代ハード/メタルの特集は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。