rockin'on 2021年11月号 中面70年代半ばにスウェーデンから登場し、数々の大ヒット曲で世界中のポップ・チャートの頂点を極めながら、82年に惜しまれつつ実質的解散状態となった4人組グループ、ABBA（アバ）―― あるいは、若い音楽ファンにとっては、ミュージカル映画『マンマ・ミーア！』（08年）の“元の曲”を歌ってた人たち！と紹介した方が話は早いかもしれない（大女優メリル・ストリープがフリフリのドレス＆厚底ブーツで熱唱した伝説の“ダンシング・クイーン”のシーン、もちろん観たよね？ ね？）。
いつ、どんな場所で初めて耳にしたにせよ、ABBAの音楽には、時空の流れを飛び越え、聴く人の心を瞬時にとろけさせちゃう、ポップの魔法の力が宿っている――金曜の夜、タンバリンのビートに身を任せ、ひとたび踊り始めれば、誰もが永遠の17歳なのだ。
この秋、そんなABBAが約40年ぶり（！）に活動を再開する。最初のビッグ・イベントは、11月5日にリリースされる新作アルバム、その名も『ヴォヤージ（原題“Voyage”）』。
収録曲数は全10曲を予定。先行シングルとして発表された“アイ・スティル・ハヴ・フェイス・イン・ユー”と“ドント・シャット・ミー・ダウン”を聴く限り、甘美なメロディ＋珠玉のハーモニーという全盛期の黄金レシピを継承しつつ、40年分の思いを熟成させたビンテージ・ワインのような深い味わいも新たに加わっていて、ABBAヒストリーの「集大成」と呼ぶにふさわしい、極上のポップ・アルバムの完成を期待してよさそう。
そして、もうひとつの特大イベントが、来年5月27日を皮切りに、ロンドンの特設アリーナで開催されるコンサート・シリーズ。
歴代『スター・ウォーズ』の特撮CGでおなじみ、インダストリアル・ライト＆マジック社が全面協力する今回のライブでは、最先端モーション・キャプチャの導入により、若き日の姿を取り戻したメンバー4人が10人編成の生バンドと“デジタル共演”するとのこと！―― って、あまりに前代未聞すぎて、実際にどんなステージなのか想像もつかないけど、何はともあれ、40年ぶりの新たな船出に“ボン・ヴォヤージ”！ （内瀬戸久司）
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rockin'on 2021年11月号 右：表紙／左：表2
