「“The Zealot Gene(狂信者の遺伝子)”のモデルはドナルド・トランプだとすぐに指摘されると思うけど、それ以外にイギリスだけでもあと7、8人は浮かんでくる。
同様にポピュリストで、現代の生活にとって危険な存在としてね」
UKプログレの至宝ジェスロ・タルが蘇った。主宰イアン・アンダーソンは近年も旺盛なソロ活動を続け、全米1位の大ヒット作『ジェラルドの汚れなき世界』(72年)の続編を出すなどしていたが、バンドとしては約19年ぶりの待望新作だ。
アンダーソンのフルートを軸としたソウルフルなブルース・ロックとブリティッシュ・トラッドを融合させた世界観は健在。さらに今作では多様な音のレイヤーを折り重ね、シンフォニックな厚みを増している。
聖書の挿話と現代社会のインシデントを重ね合わせ人間の愚かしさを告発する洞察力は相変わらず冴えているし、その背後には人間の可能性を信じる温かな眼差しも感じる。
今この不透明なカオスの時代、ジェスロ・タルとして探求したものはなにか、アンダーソン氏に訊いた。(茂木信介)
ジェスロ・タルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。