「パール・ジャムが初めてツアーしたのは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの前座としてで、その時チャド(・スミス)が兄のように優しくしてくれたことを昨日のように思い出す。それから何十年も経って、まさか俺の曲でドラムを叩いてくれるとは! この曲は彼らに影響を受けた」と語ったエディ・ヴェダー、11年ぶりにソロ作『アースリング』を完成させ行っているソロ・ツアーで超レアな“Dirty Frank”を演奏した。
エディのソロ作には、チャドのみならずジョン・フルシアンテの復帰でレッチリを去ったジョシュ・クリングホッファーも参加。レッチリも活動再開したばかりだが、2人ともエディのツアー・メンバーでもあるという信じられないほど超豪華な共演!
これは見逃せないと2月4日にNYで、2月6日にはニュージャージーで行われたライブを2回とも観に行った。エディが「ギター・リフを聴いてこんなに感動したのは久しぶり」とアルバムのプロデューサーでもある若きアンドリュー・ワットを紹介し、ソロ作から“ローズ・オブ・ジェリコ”を演奏。そもそもアンドリューが、ジョシュとチャドとモリッシーの新作を作っていると聞きスタジオを訪れたことがきっかけで彼にインスパイアされこのソロ作を作ってしまったのだ。ジョシュは子供の頃パール・ジャムのファンで、「夢が叶った」と言っていた。
エディは分断されている世界をひとつにするものという意味で『アースリング(=地球)』というタイトルを思い付いたそうだが、実際様々なものを融合させてくれたこの作品とツアー。ライブでも、「多くの困難を乗り越えて今日みんながここに集まれたことが大事」と語っていたが、ソロ作の1曲目“インヴィンシブル”で《愛があれば、無敵》と歌ったように、ステージでは絶対的な肯定や希望がかき鳴らされていた。
本作ではパール・ジャムではなかったリンゴ・スターやスティーヴィー・ワンダーともコラボ。「このバンドは長く続く」と言ったので驚いたが、R.E.M.からラーズ、ニール・ヤングまでのカバーや、エディとジョシュがプリンスを熱唱するという豪華なパフォーマンスで80年代、90年代などを祝福し、チャドやジョシュ、アンドリューとの出会いにより、エディがバンド活動30年超にしてファンも予想してなかった驚きの新たな季節を迎えたような躍動感のあるライブを繰り広げたので大感動した。 (中村明美)
エディ・ヴェダーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。