文=粉川しの
The 1975の新時代がここから始まる! 彼らのニューシングル“パート・オブ・ザ・バンド”を初めて耳にした瞬間、そう確信したファンも多かったはずだ。待望のニューアルバム『Being Funny In A Foreign Language』のリリースも10月14日に大決定し、俄かに騒がしくなってきたThe 1975周辺、さらにサマーソニックでの来日まで目前に控えて落ち着かない今日この頃、ひとまず現時点で分かっていることと今後の展望/予測/願望を交え、ガッツリまとめておくことにしよう。
The 1975の再始動は今年2月、彼らのSNSの過去投稿がリセットされたのを合図に始まった。やがて再開したSNSで新バンドロゴと新バンドビジュアルがお披露目され、前作『仮定形に関する注釈』の「黄」から「青」へとイメージカラーも一新。6月頭にはマシュー・ヒーリーの写真に「THE 1975 7 JULY」とだけ記されたゲリラ広告がイギリスのあちこちに出現した。そうして期待が最高潮に達した7月7日、遂にドロップされたのが新曲“パート・オブ・ザ・バンド”だった。
同曲の解禁直後、SNSでは「The 1975がボン・イヴェール化した!」と世界中のファンが騒然となったが、確かに同曲はインディフォークと呼ぶべきナンバーであり、ストリングスがポリフォニックな旋律へと誘うバロックチューンでもあって(レコーディングではギターも弓弾きしたらしい)、彼らのシングルとしては際立って美しく清廉な新機軸だったのは間違いない。
ただし、同曲ではブリッジからコーラスに至る最も盛り上がるパートで急に生音の「生気」が抜けるような脱力感、前作の“ザ・バースデー・パーティー”にも似た奇妙な真空の耳閉感があったりと音響処理が絶妙にモダンで、単に素朴なフォークになっていないのが彼ららしい。プロデューサーとして参加したジャック・アントノフが、同曲のモダンネスに果たした役割も小さくないだろう。(以下、本誌記事へ続く)
The 1975の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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