どこかミステリアスな佇まいのイギリスのダンスミュージックユニット、ジャングル。特に覆面ユニットであるとか、そういうことはないのだが、活動形態が状況によってまったく違うところが異色なのだ。中核となるのは、ジョシュ・ロイド・ワトソンとトム・マクファーランドで、基本的にこのバンドはふたりによるデュオユニットだ。
ふたりは子供の頃からの友達でそれがそのまま音楽デュオとなり、好きな音だけを徹底して追求し、それがふたりのこのどこまでもハードなドライブを誇るファンクグルーヴへと結実している。すごいハウスだなあと思わせる、このソリッド感に満ちたファンクグルーヴの存在感がさすがイギリス発だと痛感させてくれるのが魅力だ。なお、プログラミングやキーボード、各種楽器とボーカルはすべて自分たちで演奏していて、そうやって作り上げたトラックにさらにボーカリストやMCに声をかけていくことが多い。
ふたりの活動にどこかミステリアスな印象があるのは、基本的にMVで本人たちは登場しないからだ。ジャケットにも自分たちのビジュアルは登場させない。MVについては、どれも自分たちのトラックに合わせて、ダンサー集団がある種のシナリオに合わせて目一杯踊り倒すものになっていて、2021年の前作『ラヴィング・イン・ステレオ』からの“キープ・ムービング”MVのサムネイルがかなりの頻度でYouTubeで表示されるようになった時、「一体誰なんだよ、こいつらは」と思ったけれども、初見でもいったん観て聴いてしまうと、とても抗えるものではなかった。
そんなふたりの新作『ボルケーノ』が8月にリリースされる。今回は恋愛にまつわる高揚感や失望など、様々な感情のありようをひとつのマグマとして表現してみたということなので、彼らの最大の強味であるグルーヴのソリッド感とハードさがたまらないことになっている。
おそらく、ジャングルにとって最強の音圧アルバムとなっているのではないか。もちろん、先行配信されている楽曲も素晴らしい。そして、ジョシュに様々な疑問をぶつけたインタビューも敢行したので、そちらは次号をお楽しみに! (高見展)
ジャングルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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