エイフェックス・ツイン、5年ぶりの新EPリリースを発表。その最新フェーズに迫る!

エイフェックス・ツイン、5年ぶりの新EPリリースを発表。その最新フェーズに迫る! - rockin'on 2023年8月号 中面rockin'on 2023年8月号 中面

エイフェックス・ツインが、2018年の『コラプス EP』以来約5年ぶりとなる新作『ブラックボックス・ライフ・レコーダー 21f / イン・ア・ルーム7 F760』を7月28日にリリース(日本盤/輸入盤CDやアナログも)する。全4トラック収録のEPであり、リード曲“ブラックボックス・ライフ・レコーダー 21f”が公開された。

彼はこの6月に欧州諸地域で音楽フェス出演を果たしているのだが(今後もUK含め各地でステージを予定)、各会場では奇妙なデジタル3Dインスタレーションが設置され、その後各地レコード店にはQRコードのポスターが張り出された(ARアプリ『YXBoZXh0d2lu』がダウンロードできるのでチェックを)。毎度ながら、驚きの仕掛けと共に最新フェーズ到来を告げている。

さて肝腎要の新作だが、リード曲“ブラックボックス・ライフ・レコーダー 21f”は一聴すると極めてクールな作品、という印象をもたらすかもしれない。急激に成長する生命体のごとく、有機的に変化してゆくトラックの緻密なプログラミングは間違いなくエイフェックス・ツインのものだが、『コラプス EP』のときのようにカオティックな楽曲展開で驚きをもたらすわけではないし、アンビエントテクノとドラムンベースの融合という点では『リチャード・D.ジェイムス・アルバム』の頃の作風に近いが情緒を揺さぶる美メロもない。

端正かつ抑制されたサウンドは心地よく響くだけなのに、刻一刻と変化してゆくエレクトロニックミュージックはそれ自体が思考や意志を宿しているようで、じわじわと不気味さを増してくる手応えだ。

オランダの「Best Kept Secret Festival 2023」出演時のライブ映像を観てみると、エイフェックス・ツインは美麗なアンビエントテクノから破滅的なビート乱舞の熱狂までを描き出す濃密なステージを繰り広げているのだが、今回のリード曲に見る最新EPのクールで不気味な手応えは、そのライブ序盤のテイストに近いものがある。もしかすると、EP『ブラックボックス・ライフ・レコーダー 21f / イン・ア・ルーム7F760』もまた、エイフェックス・ツイン最新章の導入部にしか過ぎないのではないだろうか。 (小池宏和)



エイフェックス・ツインの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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