昨秋、緊急来日をして京セラドーム大阪2日間、東京ドーム3日間の計5デイズの破格のドームツアーを行ったブルーノ・マーズ。ドーム級のアーティストは、世界中の人に知られている曲があるのはもちろん、歌唱、演奏、ダンス、客席とのコミュニケーションのうち、いくつかに長けている。バンドであれば、楽器でのかけ合いで見せ場を作るのも得意だろう。ブルーノ・マーズの強みは、このうち「いくつか」ではなく、「すべて」に長けていること。
ホノルルのホテルを回る家族バンドの一員として、育った人である。2010年、『ドゥー・ワップス&フーリガンズ』でデビューした直後、キャパ600人のNYバワリー・ボウルルームで彼のコンサートを観た。その時点で、「この人、一体何歳だろう?」と思った。それくらい、ステージ慣れ、新人離れしていたのだ。
ソングライター出身だが、寡作でもある。13年間でソロ作は3作のみ。おまけにどのアルバムも10曲ほどの収録だ。アンダーソン・パークとのシルク・ソニックも含めても、異常に持ち曲が少ない。その代わり、リリースした曲はすべて大切に扱い、コンサートでは前奏で一瞬、どの曲か迷うほど激しくアレンジを施すこともある。こだわりが強いのだろう。バンドのザ・フーリガンズのメンバーも強者揃いだ。プロダクションチーム、ザ・スミージントンズ時代からの仲間、フィリップ・ローレンスや実兄を含み、結束が固い。
昨年はチケットの争奪戦が激しく、私の周りでも観られなかった人が多かった。2018年にさいたまスーパーアリーナに来たときを遥かに超える熱量だった。コロナ禍が明けた喜びと、ブルーノのライブパフォーマンスの完成度の高さが口コミで広がったのでは。予告動画で「前回来た人も来られなかった人も一緒に楽しもう!」と言っていたが、セットリストもアレンジもきっと変えてくる。私は、昨秋の来日時は2日間足を運んだが、両日でメドレー部分を変えていた。熱心なファンはもちろん、コンサートに行き慣れていない家族や知り合いに真のエンタメを紹介するにも絶好の機会だ。お見逃しなく! (池城美菜子)
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