日本時間の8月24日、ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァー・サイクスがSNSを通じて「悪いお知らせがある」とのメッセージを発信し、ファンの動揺を誘った。その文中で明かされたバッドなニュースの内容は、完成が待たれていた新作『ポスト・ヒューマン:ネックス・ジェン』の発売延期。オリーは「不測の事態発生により自分たちの望む水準で期限までに完成することができなくなった。みんなが辛抱強いことは知っているつもりだけど、さらにもう少し待っていて欲しい」とも書き込んでおり、そもそも9月15日にリリースされる予定だった同作の新たな発売日についてもまだ公表できる状態にないことを示唆している。
とはいえ、多くの音楽ファンが待ち焦がれてきた新作がまもなく届くことは間違いない。ネット上によくある「大切なお知らせ」という言葉にはときおり肝を冷やされるものだが、今回の報告は彼らの完璧主義者ぶりを伝えてくれるものでもあり、逆にむしろアルバムに向けての期待感を高めてくれたようにも思う。
そして彼らはこの作品を携えた形で、この秋、日本への帰還を果たすことになる。自らがキュレーター役を務める新たな大型フェス『NEX_FEST』の開催のためだ。出演者の顔ぶれからアートワークに至るまですべてのディレクションに彼ら自身が携わっているというこのフェスは、11月3日、幕張メッセにて開催され、さらにその前には『NEX_FEST -Extra-』と銘打ち神戸、名古屋での公演も行なわれる。その全公演にBMTHはもちろんのこと、BABYMETAL、ヤングブラッド、アイ・プリヴェイルが出演し、幕張メッセ公演ではそこにマキシマム ザ ホルモンをはじめとする国内の精鋭が加わる。
次代を連想させる“NEX”の3文字が双方のタイトルに共通しているだけに、このフェスについてBMTHが抱く理想がいかなるものであるかを探るうえでも、2020年発表の『ポスト・ヒューマン:サバイバル・ホラー』に対する回答というべき新作の内容が気になってくる。同作以降コンスタントに登場しているシングル曲がいずれもカラフルなハイブリッド感に溢れていて、そこからヒントを掻き集めてみるほどに期待は高まってくる。
今は、ちょっとしたメッセージ発信ひとつでこうして受け手側の気持を揺さぶってしまうオリヴァーの感性と機知を全面的に信頼しつつ、ロックの明日を指し示してくれるはずの新音源到着を楽しみにしていたい。(増田勇一)
ブリング・ミー・ザ・ホライズンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
●8月号『60年代ロックアルバム100』特集と9月号『70年代ロックアルバム150』特集もあわせてお楽しみください。
『rockin'on』8月号のご購入はこちら
『rockin'on』9月号のご購入はこちら
Instagramはじめました!フォロー&いいね、お待ちしております。