コールドプレイが10作目のフルアルバムを10月4日にリリースすることを発表した。プロデュースは前作同様マックス・マーティンが務め、タイトルは『ムーン・ミュージック』になるという。
この情報から推測することが2つ。1つは、「宇宙」というテーマを得たことで彼らが根源的に宿していた度を越えてエモーショナルなポップさ、それがさらに一段階リミッターを外した形で顕現したエポックな作品であった前作『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』から連続性を持ったアルバムであること。もう1つは、2011年の『マイロ・ザイロト』以降、ポップ弾ける陽性のアルバムと翳りを帯びた陰性のアルバムとを交互にリリースしてきているが、そのローテーションを守り後者に属するアルバムとなること、である。
そして、6月21日には本作からの最初の新曲として“feelslikeimfallinginlove”が配信リリース。この楽曲を聴き、「まさに!」と思わず膝を叩いた。シンプルな4つ打ちのビートにクリス・マーティンの穏やかな歌唱が乗る。ヴァース~ブリッジ~コーラスとストレートな構成で進行していく中、コーラスのさすがのキャッチーさは一度で確実に耳を掴む。
ほぼ間奏なく2周目のヴァース~ブリッジ~コーラス、さらに3度目のコーラスと進む最中で徐々に上モノが彩りを増してゆき、最後は何とブリッジであったはずの“ラララ”というパートが繰り返し叫ばれ、迎えた絶頂の中で幕が下ろされる。このささやかながら意外性ある仕掛けと、欠けた月が満ちてゆくかのようにじわじわと音像の全貌が表れていく曲構成が何とも心地好く、すっかりノックアウトされてしまった。
かねてより環境問題に意識的であり、世界ツアーではCO2排出量を目標以上となる59%削減した(過去のツアー対比)ことを発表し話題を呼んだ彼らだが、今回のアルバムもリサイクル素材を使用してCDやアナログを制作する取組みに挑むという。世界最大規模を誇るバンドとして「やりたいこと」と「やるべきこと」を微塵も損なわず120%やり切るという破格さ。これでこそ、コールドプレイだ。(長瀬昇)
コールドプレイの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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