ザ・ラスト・ディナー・パーティーが8ヶ月ぶりに来日! カリスマ性あふれる幻想的なステージでバンドの飛躍を証明した一夜をレポート


現在発売中のロッキング・オン7月号では、ザ・ラスト・ディナー・パーティーのライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。



文=粉川しの

ザ・ラスト・ディナー・パーティーは新人らしからぬスキルと華を兼ね備えた優秀なライブバンドであるからこそ、約8ヶ月ぶりの来日公演に対しては、期待と同時に不安もあった。彼女たちは初来日の時点で新人らしいパフォーマンスとは無縁のハイコンセプトなステージを繰り広げていたわけで、8ヶ月前に早くも「仕上がっていた」ため、「伸び代」の証明という意味でむしろ不利なのではないか?と思っていたからだ。しかし、それは全くの杞憂だった! TLDPがZepp Hanedaで見せてくれたのは、デビュー作『プレリュード・トゥ・エクスタシー』のエキセントリックな世界のさらなる深みへのダイブであり、世界中を回るツアーの中でより鍛え上げられた、5人のミュージシャンシップの飛躍的な向上だった。昨年の夏、私たちが完璧なライブだと感じたTLDPのゴールは、実はあの場所から遥か遠くに設定されていたことに気付かされる、圧巻のステージだった。

 強烈な逆光の中で彼女たちのシルエットが浮かび上がるお馴染みのオープニングは、巨大な三日月が掲げられた幻想的なステージと相俟って、より劇的な効果を増していた。ちなみにオーバーチュアの“プレリュード・トゥ・エクスタシー”から“バーン・アライヴ”、そして“シーザー・オン・ア・ティーヴィー・スクリーン”に至る冒頭の流れは昨年のリキッドルームと全く同じで、そもそもレパートリーが増えているわけでもないので、セットリスト自体も昨年から大きな変化はない。むしろ、ガワの大きな変化がないからこそ、その内部の進化が如実だったのだ。特に“シーザー・オン〜”の恐ろしくシャープな転調が証明するアンサンブルの強化、ガーリーでコケティッシュな魅力を振り撒きつつも、「Anyone!」のシャウト一発で場を掌握するアビゲイルのカリスマは、別次元に達していた。バンドのトレードマークの天使が左右から見守るステージには、雲を模した装飾が施されており、そこで歌い、弾き、舞い踊り、1曲1曲を「演じる」アビゲイルたちを観ていると、夜空に浮かぶ雲の上で繰り広げられる一夜の夢に引きずり込まれるような感覚を覚える。(以下、本誌記事へ続く)



ザ・ラスト・ディナー・パーティーの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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