日経ライブレポート「ザ・レモン・ツイッグス」

彼らが今年9月に発表した新作「ゴー・トゥ・スクール」は個人的に今年を代表する作品のひとつになっている。

人間として育てられたチンパンジーが、タイトル通り学校に通い、そこでイジメにあい
最後には学校に火をつけてしまうという悲劇を描いたミュージカル作品だ。かなりユニークな作品だが、一曲一曲はとても聴きやすいポップソングとして作られている。今回のステージは、その新作を中心とした構成になっていた。

ザ・レモン・ツイッグスはブライアン、マイケルのダダリオ兄弟を中心としたニューヨーク出身のロックバンド。2016年デビューのまだ若いバンドだが、すでにそのユニークな音楽性に対する評価と人気は高い。実は「ゴー・トゥ・スクール」は彼らの2枚目のアルバム。まだ2枚目なのに、これだけの実験性のある意欲作を発表する姿勢が彼らの素晴らしさだと思う。こうした冒険に出た理由を「作品に対する賛否は出るだろうけど、無視はされないと思う」と言っている。

ライヴのハイライトは主人公が学校に火をつけた場面を歌った「ザ・ファイア」という曲だった。アルバムでもドラマチックな構成になっていたが、ライヴではより主人公の悲しみが強く伝わるエモーショナルなパフォーマンスになっていた。

多くの人が感じたと思うが、主人公のチンパンジーはダダリオ兄弟の少年時代が投影された姿だ。チンパンジーの悲しみは彼らの悲しみであり、聴いている僕たちの悲しみでもあった。ロックが時代のリアルをしっかり表現できる手応えを感じる感動的なライヴだった。11月29日、TSUTAYA O-EAST。

(2018年12月12日 日本経済新聞夕刊掲載)
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