今週は、細美武士のMONOEYESの音源も解禁され、アジカンのアルバム『Wonder Future』もリリースされました。
JAPANの先月号のコラム「激刊!山崎」では、00年代組とも呼べる彼ら世代の「今」について書きました。
今日から最新号が発売になって書店から消えてしまうのですが、ぜひ読んでもらいたいのでここに一部転載します。
_____________________
今月号でわたくし山崎は5本もロング・インタビューをやってしまいました。
アジカン、細美武士、ストレイテナー、チャットモンチー、藤巻亮太、という00年代デビュー組のアーティストたちのリリースが重なったのです。
やっぱり燃えるんですよね、00年代組のアーティストの活躍ぶりを見ると。
彼らが出てきた頃は僕はすでに40代でしたが、なぜか青春のリアルタイム感があるんですよ、彼らに対して。図々しい話なんですけどね。
腹を割って話せたり、ケンカもできる最後の世代なんですね、僕にとっては。
今の20代のアーティストとは、やっぱりさすがにケンカはできないです。したとしても嫌われて終わりでしょうね。嫌われたくないので、しません。
細美武士とは出会った頃からある種のバチバチ状態だったし、アジカンのゴッチともなあなあの仲良しになったことは一度もないし、藤巻くんではないけどレミオロメン時代に神宮司くんとインタビューでやり合ったことはあったし、チャットモンチーの2人からはいまだに警戒されてるし………やっぱりこっちも本気で相手も本気だからぶつかり合う、みたいなことがあったわけです。
そういうふうにぶつかり合える最後の世代なんですね、僕にとって彼らは。
そんな彼らのリリースが重なって、しかもそれぞれが世に出て10年以上を経た今、再び新たな覚悟でシーンに乗り出そうとする作品ばかりなのだから、そりゃあこっちもテンション上がります。
特にアジカン、細美武士、ストレイテナーの3組は今、明確に「ロック」を掲げて時代と真正面から向き合おうとしているのを感じます。特に話し合ったわけでもないのに、3組ともそれぞれが偶然に同時期に改めてストレートにロックに向き合った、という現象は非常に面白い。
それは彼らのアーティストとしての本能的な確信なのだと思います。
「ストレートなロックにしかできない表現がある。そして、それは今こそ有効だ」
ということを本能的に感じ取ってすぐに行動に移す確信なのだと思います。
今の世の中の流れや音楽シーンの動きを見ていると、「ストレートなロック」などという方向性は普通なら出てきません。
どれだけポップな曲を書けるか、とか、どれだけダンスビートを取り入れられるか、とか、どれだけ奇をてらった存在でいられるか、とかをみんな一生懸命考えています。
でもどこかで、「でもその先になにがあるのかな?」という疑問も抱えています。
そんな曖昧な状況を突き破るのは「確信」だけです。
10年以上ののいろんな試行錯誤や積み重ねをふまえて、今あえて「ストレートなロック」と向き合うというギアを入れた3組の確信には信頼感がある。
そしてもちろん、それぞれの音源にはとてつもない説得力がある。
今月号からはそんな確信の力を感じ取ってもらえるのではないかと思っています。
(ロッキング・オンJAPAN「激刊!山崎」より一部転載)