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    映画『君の名は。』をやっと観た。その凄さについて

    映画『君の名は。』をやっと観た。その凄さについて
    個人的なことで申し訳ありませんが、先週の週末やっと予約できて映画『君の名は。』観てきました。
    『秒速5センチメートル』以来の新海ファンの中には、この突然の『君の名は。』大ブームに巻き込まれて、しばらく観そびれてしまっていたという人は意外と多いんじゃないかな…(ありがちな負け惜しみ)。

    独特のモノローグ、すれ違う主人公、人と時間というテーマ、宇宙のモチーフ、そして何よりノスタルジーにも近未来にも寄せずに圧倒的に「今」の風景をしっかり描く画風。
    新海監督の持ち味が初っぱなから存分に活かされた、でもやはり過去の作品を遥かに凌ぐ完成度を誇る傑作だった。

    時間というものを糸や組紐に喩えて、「人が繋いだり結んだり絡まったり解いたりするものだ」という概念がテーマとして登場する。
    つまり、時間は自分たちの手で編んでいくものだ、ということだ。
    主人公の二人は、すれ違った時間を結び直すために勇気を持って全力で行動する。

    この概念は、音楽に似ている。
    音楽もまた、時間を自分たちの手で編むということだ。
    糸や紐を編むように、ビートや音階や言葉で時間を編んでいく。それが音楽。
    時間を自分達で編むことによって自分達のものにするための知恵、手段。

    『君の名は。』は、これまでの新海監督の作品の中でも、非常に音楽的なグルーヴがある。
    RADWIMPSの音楽が流れていないシーンでも、まるで音楽のようなスピード感とグルーヴで時間と物語が編まれていく。

    現在、『君の名は。』は興行成績100億円を突破して、RADWIMPSの「前前前世」も大ヒットしているが、ただ単にワンセットでヒットしているだけではなくて、この映画のテーマと音楽の本質的な部分が共鳴し合っているからである。
    すべての要素が大きなテーマへと結びついていく、素晴らしい作品だ。
    山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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