加藤和彦さん、安らかに

加藤和彦さん、安らかに

ザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」が爆発的にヒットしていて父がシングル・レコードを買ってきたのは幼稚園の時だった。
あのぐにゃぐにゃのアシッド・フォークは、ロックとの出会いよりも遥かに前に、僕をいけない白昼夢の世界に連れていった。
部屋で変速レコーディングされた「おらは死んじまっただ〜」という歌を何度も聴いていたら、曾祖父に「そんな気色のわるい縁起でもない歌を聴くのはやめなさい」と叱られた。

小学生で、サデイスティック・ミカ・バンドに夢中になった。きっかけは高橋幸宏のドラムがかっこよかったから。でもすぐにアルバム「黒船」の世界観、センス、演奏の素晴らしさ、そして加藤和彦の醒めた儚いヴォーカル、すべてに夢中になった。


それから洋楽を聴き始めて加藤和彦の音楽からは遠ざかってしまった。

僕にとって加藤和彦は、狂った発想からとびきりかっこいい音楽は生まれてくるんだ、ということを華麗に見せてくれた日本人離れした音楽家。

ロック好きならサデイスティック・ミカ・バンドの「黒船」あたりから彼のフリーキーで偉大な音楽に入って行くことが、何よりも彼の魂の慰めになると思う。

病気と、創作の悩みは我々の想像を絶するものだったのでしょう。解き放たれて、安らかに休んでください。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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