トゥエンティ・ワン・パイロッツのボーカル、タイラー・ジョセフが伝説と呼ぶ人物とは。新コンセプトAL『トレンチ』を聴く

トゥエンティ・ワン・パイロッツのボーカル、タイラー・ジョセフが伝説と呼ぶ人物とは。新コンセプトAL『トレンチ』を聴く

前作から約3年半ぶりとなったトゥエンティ・ワン・パイロッツのニューアルバム『トレンチ』は、架空の街「Dema」に生き、旅立つまでのストーリーが描かれたコンセプト・アルバムだ。「Dema」は9人の司教によって統治された社会であり、事前に公開された3曲のMV“Jumpsuit”、“Nico And The Niners”、“Levitate”は、そのストーリーに基づいた内容になっている。




抑圧的な社会からの脱出を願うストーリーは極めてドラマティックであり、同胞たるリスナーに呼びかける歌の数々は胸を熱くさせる。何より素晴らしいのは、重くのしかかるような息苦しさや虚無感を徹底的に音像化する手さばきである。重厚なギターサウンドからダブの音響処理、ヒップホップや現代型ソウルの息遣いを感じさせるビート、タイラーの詩的な独白のように響くスポークンワードまで、あらゆる手段を講じてこの世界観を描き切ろうとしている。


ぜひ、どっぷりと浸ってほしい作品なのだが、アルバムの終盤に収められた“Legend”だけは、コンセプチュアルな作風から離れ、ひとりのミュージシャンとして日々を送るタイラーの思いが、ある人物に捧げられている。

《あの出来事が起きてしまった日、俺はこの最後の一部分をレコーディングしていた/君とまたランチを食べる日を、楽しみにしているよ》。これは恐らく、チェスター・ベニントンに捧げられた歌だろう。重厚なストーリーの中で唐突に顔を覗かせる丸裸の思いが、胸を打つ。(小池宏和)

トゥエンティ・ワン・パイロッツのボーカル、タイラー・ジョセフが伝説と呼ぶ人物とは。新コンセプトAL『トレンチ』を聴く



『トレンチ』の詳細は以下。

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