パンクは死なず、何度だって始められる。サウス・ロンドンの新星シェイムの激烈ライブを観た!


1曲目の“Dust on Trial”が始まってものの数十秒後にはボーカルのチャーリーが客席最前列によじ登り、そのままフロアダイブに突入。ド頭から掴みかかってくる彼らの激烈テンションを食らって一気に血が沸騰、気づいた時には頭をブンブン振ってその灼熱と同化しようとする自分がいた。ここまで直接的に即効性の高い興奮を注入されたライブは本当に久しぶりだった。

デビュー・アルバム『ソングス・オブ・プレイズ』が高い評価を得ているサウス・ロンドンの新星、シェイムの初来日公演だった。ザ・フォールストゥージズブラック・フラッグあたりをごった煮したポスト・パンク〜ハードコア・サウンドが彼らの基本。でもそこにブリットポップ期のブラーパルプのようなアイロニカルなメロディがあり、ニック・ケイヴをコミカルに転用した歌唱があり、時々ザ・ジャムのような硬派なリリシズムもあるという実はカラフルな音楽性のバンドだ。

でも、そうやって分解して論じることは、どんどん彼らの本質から遠のいていく行為だと感じたライブだった。幾重ものサウンドのレイヤーが溶け合って生まれたマーブル模様のゴツゴツした塊、その不成形が何よりリアルであり、ギター・ミュージックが今後も若い世代のものであり続けるためのヒントも、そこにあると思うのだ。(粉川しの)
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