実は名曲満載だったストーンズの1994年ツアー! 完全ライブ作品『ヴードゥー・ラウンジ・アンカット』、ついに実現
2018.11.08 17:00
11月9日に日本先行リリースされるザ・ローリング・ストーンズの1994年のザ・ヴードゥー・ラウンジ・ツアーのライヴ映像作品『ヴードゥー・ラウンジ・アンカット』だが、同作は94年に『Voodoo Lounge World Tour 94-95』としてかつてリリースされたものの完全盤という内容。
当時はアメリカのマイアミ公演のうちの17曲が収録されていたのが、今回は全28曲に加えボーナス・トラックを収録し、映像と音源もグレードアップしている。ライブの内容が全部観られるというのはもちろんファンとしてはとても嬉しいことだが、それ以上にファンには嬉し過ぎる楽曲が揃っていることもまたこの映像のたまらない魅力だ。
もともとストーンズは解散の危機を迎えていたのを脱して、1989年に『スティール・ホイールズ』をリリースし、7年ぶりにツアー活動を再開させることになった。日本公演もこのツアーで初めて実現したが、このツアーでのセットは各国においても、まんべんなくヒット曲を拾い上げていくものになっていたし、解散を免れようやく復活したバンドにファンが期待するものもまさにそういうものだったはずだ。
それに対してこのヴードゥー・ラウンジ・ツアーからはマニアックな選曲も一部で行うことになって、その全貌を味わえるのが今回のアンカット盤だ。さらにセカンド・ステージなどといった演出も含めて、この時のツアーはその後のバンドのツアー運営の礎ともなったものだったことも今振り返るとわかってくる。
とにかく当時も今もしびれるのは、オープナーにごく初期のシングル"Not Fade Away"を持ってきたことで、もともとバディ・ホリーのこの楽曲をボー・ディドリー的なリズムで貫き、さらにローリング・ストーンズのエッジが加わったことで素晴らしいパフォーマンスとなっていて、1981年ツアーの"Under My Thumb"と双璧をなす、必殺のオープナーとなっている。
また、リズム・セクションが異常なほどに強調されているこの曲は、ビル・ワイマンの脱退によりこのツアーから新しくベーシストとして加わったダリル・ジョーンズを紹介する意味でもうってつけのナンバーだったのだ。
今回初めて本編に収録される楽曲では『メインストリートのならず者』の強烈なオープナー"Rocks Off"、シェリル・クロウがゲスト共演する"Live with Me"、悶絶のバラード曲"Beast of Burden"、ロックとファンクが見事に融合した"Doo Doo Doo Doo Doo"(ミックは"Heartbreaker"と紹介する)など隠れた名曲が多過ぎて見逃せないし、別公演の映像も5曲揃っている。
かつては1995年の日本公演のライブ作品もあったので、あれもいつか再発してほしい。(高見展)
『ヴードゥー・ラウンジ・アンカット』の詳細は以下の記事より。