終焉への序曲――キッス最終ツアー、今月末に開幕! 103に及ぶツアー日程発表に思うこと


1月19日、キッスのジーン・シモンズが自らのTwitter上に、わずか20秒間の短い動画をアップした。私服姿のキッスのメンバーたちがスタジオで“Detroit Rock City”を演奏しているさまが収められたもので、画面上に記された文字によれば、それは現地時間の1月15日、午後3時22分に撮られたもの。例年ならさほど気にするまでもない動画だが、今年の場合に限ってはそうはいかない。なにしろキッスは最終ツアーの開幕を間近に控えているのだから。


過去にも「FAREWELL TOUR」を実施しておきながら引退を撤回した過去のあるこのバンドではあるが、ジーン・シモンズとポール・スタンレーという両巨頭の年齢などを考えてみても、今度は本当だと信じるしかない。かつて70歳でライブ活動から身を引く意向を口にしているジーンは現在69歳(今年の8月で70歳)、ポールは去る1月20日で67歳になっている。まだまだ若いと思っていたエリック・シンガー(D)ですら60歳になっているし、最年少にあたるトミー・セイヤー(G)は現在58歳だ。

今回のキッスのツアーは「END OF THE ROAD WORLD TOUR」と銘打たれている。彼らの1stアルバムがアメリカでリリースされたのは1974年2月のことだが(つまり、まもなくデビューから満45年を迎えることになる)、このツアー・タイトルからは、それ以前からずっと続いてきた彼らのロード生活が、ついに終焉に至るのだという意味合いの重みを感じずにいられない。

ツアー自体は1月31日、カナダのバンクーバーで幕を開け、まずは北米で44公演が行なわれることになる。その後、5月下旬から7月にかけてはフェス出演を含む計26公演の欧州ツアーが控えており、8月から9月にかけてはふたたび北米を巡演。さらに、11月半ばから12月にかけて行なわれるオーストラリア/ニュージーランド公演の日程もすでに発表されている。

そのトータル公演数は、現在発表されているだけでも実に103本。もちろんキッスがワールド・ツアーと銘打ってツアーを行なうとなれば、南米にも足を延ばすだろうし、当然ながら日本にも来てくれることだろう。ツアーが始まった途端に新たな日程が公表されたり、追加公演が決まったりすることも予想される。

現在、エルトン・ジョンも長期間に及ぶ引退ツアーを実施中だが、彼の場合と同様に、キッスのツアーも果たしていつ頃まで継続されることになるのか、想像のつかないところではある。が、とにかく、このツアーの開幕が「本当の終焉の始まり」であることは間違いなさそうだし、彼らが普通にツアーだけを展開していくとは考えにくい。現に、2月11日にはサンセット・ストリップにある由緒正しいクラブ、ウィスキー・ア・ゴーゴーでの完全招待制ライブも決まっていたりするし、各国でそうしたサプライズ・イベントが行なわれる可能性もある。日本公演の早期実現を心待ちにするとともに、この先、どんな出来事が待ち受けているのかを楽しみにしていたいところだ。(増田勇一)

rockinon.com洋楽ブログの最新記事