スーパーオーガニズム、「無敵の子供時代」の集大成ライブを観た! オロノのぶっちゃけトーク炸裂のインタビューも敢行

スーパーオーガニズム、「無敵の子供時代」の集大成ライブを観た! オロノのぶっちゃけトーク炸裂のインタビューも敢行

デビューからわずか1年で3度の来日を果たし、回を重ねるたびにより一層の楽しさと、尽きることのない新鮮な驚きが湧き出る最高のライブを繰り広げてきたスーパーオーガニズム。それは今回の来日ツアーでも同様だった。特に今回は、スーパーオーガニズムの「無敵の子供時代」の総括、集大成とでも呼ぶべきパフォーマンスだったと思う。

とっ散らかったパズルのピースを(ダルそうな顔をしつつも)どんどん正しい位置に直感ではめ込んでいくようなスーパーオーガニズムのプレイは、初めて観た時はひたすら驚きでしかなかったが、今回はもはやそれがポップのニュー・ノーマルなのだと実感する状況が出来上がっていた。好き勝手に音を放り出しているようでいて、実は映像と見事に同期したバンド・アンサンブルも、意味不明なコラージュでありながらも、一貫した美意識で貫かれた映像のコンセプトも、とことんローファイでありながら極上クリアなメロディも、どれもが飄々と、そして当たり前にブラッシュアップされている。

“It’s All Good”のコズミック・サイケには抑揚の付け方上手い!と思わず唸ってしまったし、“Reflections on the Screen”をオロノの生歌で聴くと、やっぱりこのバンドははどんなギミックよりもまず何よりソングライティングがずば抜けているってことを、再確認せずにはいられなかった。そう、彼女たちにとってローファイやDIYは確立されたスタイルではなく、単なる当面の状態であって、「無敵の子供時代」後のスーパーオーガニズムは、この何よりずば抜けたソングライティングをとんでもない角度でさらに成長させていく可能性が高いのだ。

「オロノ“ちゃん”って呼ぶのまじでやめろ。しかもそう呼んでるのおっさんばっかじゃん。ほんと失礼だからね?こっちはもう19歳なんだから。小学生みたいに見えるかもしれないけど。呼ぶならオロノさんかオロノか野口さんか社長!」
「(フロアの一角を指差しながら)そこらへん、超盛り上がってるね。いいよいいよーそこだけ最高」
「彼らを見て真似してジャンプして。ちゃんと手上げろよ、ほらほら!……そうそう超いいね!日本人だね!」

などなど、この日もオロノのドSなMCは絶好調。昨年夏のフジロックでもその片鱗は少し伺えたけど、彼女いわく、最近は思ったことや感じたことを正直に発していくモードになったのだという。ライブの開演前にオロノにインタビューをしたのだが、ここでもノンストップのぶっちゃけトークは全開で、今の彼女が抱えている様々なフラストレーションや葛藤、焦燥に駆られるようなアートへの渇望や幾つかのモチベーションについて、色々な話を訊かせてもらうことができた。

ちなみに、英語MCに対して雰囲気でイエーイと返すオーディエンスを「意味わかってないだろ、英語勉強しろ!」とディスっていたオロノだけれど、そこには「昔の自分みたいな子のために英語はマジ大事だって発信したい」と語る彼女の、直球シリアスな想いがあることもうかがえたインタビューだった。ちなみにオロノさん、昨年憧れのリヴァース・クオモと会ったそうで、その時、19歳の今ならではの悩みについて彼からとあるアドバイスをもらったとか。詳細は『ロッキング・オン』3月号をお楽しみに。

アンコールの“Something for Your M.I.N.D.”ではこの日のオープニング・アクトだったCHAIも参加してステージが大混雑のカーニバルと化したのも楽しかったし、「お前、上がってこい」とオロノに命じられた1人のファンがステージ上でバンドの一員としてしっくり馴染み、余裕綽々のタンバリンワークを繰り広げたのも痛快だったし、オーディエンスの頭上を2匹の巨大シャチがヒョンヒョン跳ねている光景も緩くてシュールで最高だった。あのラストの緩くてシュールな一体感は、人と繋がることの意味と手段が多様化しすぎてこんがらがったこの時代の、ちょっとした希望を感じさせるものでもあった。(粉川しの)

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